2022 Fiscal Year Research-status Report
スキルス胃癌の浸潤や腹膜播種に寄与するチロシンリン酸化蛋白質の解明
Project/Area Number |
22K07176
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
白木原 琢哉 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30548756)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リン酸化タンパク質 / スキルス胃がん / FGFR2 |
Outline of Annual Research Achievements |
スキルス胃がん細胞株から以前に同定したおよそ250種類のリン酸化タンパク質のリストをもとに、研究計画ではCRISPR-Cas9によるノックアウトスクリーニングを計画している。本年度は、CRISPR-Cas9ノックアウトライブラリの実験系立ち上げと並行して、リン酸化タンパク質リストのうち注目因子の機能解析を行った。LSR(lipolysis-stimulated lipoprotein receptor)はFGFR2シグナルの亢進したスキルス胃がんにおいて強くリン酸化修飾を受けることを見出している。この受容体はコレステロールの輸送体である VLDLを細胞内へ取り込むことから、VLDLを培養液中に添加したところ、濃度依存的にFGFR2型スキルス胃癌の増殖を促進することが明らかとなった。さらに、FGFRのキナーゼ阻害剤を加えたところ、VLDLによる細胞増殖が抑制された。そこで、まずFGFR2によるLSRリン酸化部位を特定することを目指した。LSRにはリン酸化標的として報告されているチロシン残基が16ヶ所存在し、そのうちチロシンキナーゼの標的となりやすい10ヶ所についてフェニルアラニンへの点変異を導入した。いくつかの変異ではリン酸化の程度は野生型と比較して弱くなるものの完全には消失しないことから、LSRは複数箇所がリン酸化標的となることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究立案当初に予定したノックアウトライブラリが完成していないため、浸潤・転移関連リン酸化タンパク質のスクリーニングが施行できていない。しかし、代わりに新規リン酸化タンパク質の機能解析を進行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画で予定している、コラーゲンゲルへの三次元細胞培養を利用した浸潤細胞のスクリーニングの実験系確立を進める。また、リン酸化LSRの機能解析も進行予定である。
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Causes of Carryover |
一部の研究計画の進捗に遅れが出ているため。次年度に細胞培養関連の消耗品代として使用する予定。
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