2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the molecular basis of MYC-driven cancers and development of therapeutic strategies
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22K07179
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
杉原 英志 藤田医科大学, がん医療研究センター, 准教授 (50464996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 絢子 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00770348)
増田 健太 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30773460)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | MYC / リンパ腫 / 卵巣がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においてMYC異常がんである悪性リンパ腫と卵巣がんの難治性機序を解明するため、今年度は以下の研究を実施した。まずMYC高発現及び低発現リンパ腫細胞株(びまん性大B細胞リンパ腫10株)、MYC増幅及び正常卵巣がん細胞株(漿液性腺がん3株)のRNAシーケンスを実施し、トランスクリプトーム解析を行った。その結果、リンパ腫、卵巣がんでそれぞれMYC高発現細胞株に特徴的な遺伝子発現変化群を出すことができたが、リンパ腫の細胞株によってはMYC高発現であっても異なる遺伝子発現を示すことが分かった。これはMYCが過剰発現すると標的遺伝子だけでなくゲノムワイドに遺伝子発現に影響することが報告されているため、たとえMYCに依存性があっても病型や分類で背景が異なるとそれぞれ特異的な遺伝子発現プロファイルとなることが示唆された。次に卵巣がんの細胞株を用いてMYCの構造異常と他の遺伝子領域のゲノム構造異常の関連性を調べるため、ナノポアシーケンサー(GridIONまたはPromethION)を使用したロングリード全ゲノム解析を実施した。その結果、全ゲノム解析の十分量なシーケンス収量(平均87 Gb)とリードサイズ(平均17 kb)が得られた。さらにマッピングを実施し、平均78.6 Gbのシーケンス量が得られ、depthは26.1 Gbであったため、今後の構造異常の解析にはある程度十分量得られたことが分かった。また、ロングリードデータ解析に必要なツール群の検討と整備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画通り、MYC異常がん細胞株を用いたトランスクリプトーム解析及びロングリード全ゲノム解析を順調に実施することができた。また、MYC異常に伴う特徴的な遺伝子発現変化群をいくつか絞ることができた。これらのデータを基に次年度において統合的な解析や機能実験を行う下地ができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
リンパ腫細胞株及び卵巣がん細胞株のトランスクリプトームデータと以前に実施したMYC導入マウスリンパ腫モデルのトランスクリプトームデータとの統合解析を行う。さらにGene set enrichment解析を実施してMYC高発現と特定機能の遺伝子セット(シグナル経路や転写因子など)の相関解析を行う。CRISPR-Cas9やshRNAにより絞り込んだ分子を阻害する実験を行い、細胞増殖や生存に影響するのか検討を行う。次にロングリードデータより構造異常の検出を種々のツールを用いて解析し、どの遺伝子に構造異常が生じているのか、MYC増幅との関連性の有無について検討を行う。また、構造異常と遺伝子発現プロファイルと統合した解析も実施する。さらにMYC高発現がんの再発機構を解析するため、卵巣がんマウスオルガノイドモデルを用いて抗がん剤投与前後の遺伝子発現をRNA-Seqにより解析を実施する。
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