2023 Fiscal Year Research-status Report
消化器癌における血中循環腫瘍細胞のクラスター化阻害に着目した新規治療開発
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22K07185
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
三輪 武史 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (90775800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 知之 富山大学, 学術研究部教育研究推進系, 特命教授 (10533523)
藤井 拓人 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 講師 (50567980)
藤井 努 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (60566967)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | CTC / α3NaK / 胃癌 / 膵癌 / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで大腸癌、肝細胞癌、胃癌細胞株を用いた細胞株レベルでのα3NaKの発現と、アノイキス回避におけるα3NaKの機能について検証してきた。 胃癌細胞株MKN45を用いて、α3NaK(Na/K ATPase α3サブユニット)の細胞内移動と、強心配糖体の影響を調査した。胃癌細胞株MKN45は接着状態では、α3NaKは細胞質内に分布していたが、遊離操作を行うとα3NaKは原形質膜へ移行することが確認された。ジゴキシンの効果を調べるため、異なる濃度のジゴキシンを処理したMKN45細胞の原形質膜でのNaKタンパク量をビオチン化アッセイとウェスタンブロットで解析し、高濃度のジゴキシンでα3NaKの原形質膜への移行が抑制された。また、MKN45細胞にジゴキシンを投与し、カスパーゼ活性を測定すると、接着状態ではカスパーゼ活性に変化はなかったものの、遊離状態ではジゴキシン投与によりカスパーゼ活性が有意に上昇し、抗腫瘍効果が示唆された。 マウスの皮下にMKN45を投与して皮下腫瘍モデルを作成し、ジゴキシンを1週間投与したところ、CTC(遊離癌細胞)数が有意に減少した。しかし、原発腫瘍のサイズには変化が見られなかった。次に、胃壁にMKN45を注射して胃癌モデルを作成し、2週間ジゴキシンを投与した結果、ジゴキシン群ではCTC数および肝転移率が有意に減少した。多変量解析では、原発腫瘍の重量とジゴキシン投与が肝転移に影響を与える因子であった。 ヒト胃癌症例から得られたCTCを用いてα3NaKの分布を調べた結果、ヒトCTCでもα3NaKは原形質膜に強く分布しており、再接着させるとα3NaKは細胞質内に移行することが確認された。このことから、ジゴキシンがCTCのα3NaKの局在に影響を与え、抗腫瘍効果が期待されることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MKN45細胞株とマウスモデルの両方で、ジゴキシンがα3NaKの原形質膜移行を抑制し、CTC数の減少と抗腫瘍効果を示した。また、ジゴキシンがα3NaKに特異的に作用することが示された。また、細胞レベルの解析に加え、動物モデルおよびヒト胃癌症例での検証を行い、一貫した結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中の実験としては、当科で所有している胃癌100症例の組織マイクロアレイをα3NaKで染色し、α3NaKの発現をスコアリング。このスコアと患者因子の比較を行っている。このスコアと予後の関係、α3NaK発現に関連する患者因子の有意検定を施行中である。 また、Vitroの補強のために、α3NaKをノックダウンした細胞株においてのジゴキシン効果の変化の検討を考えている。そのほかにα3NaKを発現しないマウスの癌細胞株にα3NaKをノックインしてジゴキシンの効果の変化を検証中である。
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Causes of Carryover |
研究計画に対して物品の請求が予定より高額にならなかったこと、論文作成等での消費がまだなかったことから、使用計画と差額が生じたと考えられる。今後論文作成による、諸経費、追加実験等で使用する予定である。
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Research Products
(3 results)