2023 Fiscal Year Research-status Report
NRF2依存性がんに脆弱性をもたらす転写因子ネットワークの変化
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22K07204
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
北村 大志 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (20706949)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | NRF2 / 転写因子 / 肺がん |
Outline of Annual Research Achievements |
転写因子NRF2はがん細胞で、NRF2の負の制御因子であるKEAP1遺伝子の体細胞変異などによりKEAP1-NRF2制御系が破綻してNRF2が異常に活性化しており、その細胞増殖・腫瘍形成・治療抵抗性などをNRF2に大きく依存した状態になっている このような「NRF2依存性がん」は予後が極めて不良である。このように、悪性化がんにおいてNRF2は治療標的のひとつとして有望視されている。ヒト肺がんにおいて、NRF2依存性がんはKEAP1とKRASの体細胞変異の共起によって成り立っており、RASシグナルもNRF2を活性化するシグナルである報告があった。本研究ではこれまでの研究結果にもとづき、RASの下流因子でNRF2の転写活性化能制御する因子を同定し、そのメカニズムを検証することを目的としている。前年度は、RASシグナルの下流において、NRF2の転写活性化能を低下させるシグナル因子候補をいくつかに絞っていた。 前年度に引き続き、シグナル候補因子について様々な実験を行ってきた。今年度は、それぞれの候補シグナル因子について阻害剤やsiRNAによるノックダウン実験、または過剰発現系による候補シグナル因子のNRF2転写活性化能に対する効果について検証した。その結果、NRF2転写活性化能を阻害する効果が高い、一つのリン酸化シグナル因子経路を同定した。興味深いことに、このシグナル経路は特に腫瘍形成時に変化を見せることから、RAS経路が3D培養時に特異的に働き、NRF2転写活性化能を阻害すると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RASシグナルの下流でNRF2の転写活性化能を制御する候補因子を順調に絞ることができてた。これらの阻害経路が特異的に機能する条件についても検討し、より詳細なメカニズムに迫ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
同定した因子についてヒト肺がん細胞株や臨床データなどを用いて、その効果について検証を進める方針である。また、平面培養と3D培養、もしくは腫瘍形成時においてRASの下流シグナルがどのように変化していくかを検証する実験を行う。次年度は研究結果をまとめて、国際誌に研究結果を報告する予定である。
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Causes of Carryover |
RASシグナルの下流でNRF2の転写活性化能を制御する因子のスクリーニングが研究開始当初予想していたより、スムーズに進行して因子を同定できてきため、次年度使用額が生じた。
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