2022 Fiscal Year Annual Research Report
Significance and Mechanisms of Phase Separation Mediated by Cancer-Driving Fusion Oncoprotein EML4-ALK as Revealed by High-Speed AFM
Project/Area Number |
22K07208
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
HAN XUJUN 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 特任助教 (30872163)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | EML4-ALK / HS-AFM / Phase separation |
Outline of Annual Research Achievements |
EML4遺伝子とALK遺伝子の融合によって新たに生じるALK4-EML融合タンパク質は、肺がんに対する強力な発がんドライバータンパク質として機能するが、分子内にIntrinsically Disordered Region(IDR)領域をもつこと、EML4-ALKの精製が難しいことなどによって、チロシンキナーゼドメインを除くとその全体構造は未解明であった。本研究では、EML4-ALK variant-1 / variant-3 / variant-5、それぞれをHEK293細胞にて発現し、高度に精製されたEML4-ALKタンパク質について、高速AFM(原子間力顕微鏡)による構造解析をおこなった。分子動態のリアルタイム観察により、各variantは2量体化または3量体化を示し、そのプロセスは可逆的であった。また、EML4領域のIDR内で球状サブドメイン(191 ~ 217 残基)は、一時的・可逆的な球状構造を示し、球状構造の形成は、オリゴマー化された ALK ドメインの多様なパターンに寄与することが観察された。ALKチロシンキナーゼ阻害剤であるアレクチニブは、IDRサブドメインを圧縮し、EML4-ALKオリゴマー化を抑制したことから、キナーゼドメインにおける局所的な構造変換がIDR分子動態に影響することが明らかになった。さらに、この作用は、臨床的にALK阻害剤に対する薬剤耐性に関与するALKG1202R変異では認められなかった。 これらの観察結果から、アレクチニブはALKチロシンキナーゼ活性を阻害することに加えて、EML4-ALKのIDRの構造変換を介して EML4-ALK オリゴマー化を抑制することが示唆された。以上、高速AFMによる分子動態観察によって、従来のアプローチでは解明されないEML4-ALKの分子動態とALK阻害剤の作用機作が明らかになった。
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