2022 Fiscal Year Research-status Report
老化細胞から分泌されるエクソソームのがん病態における役割の解明
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22K07222
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
田中 陽子 公益財団法人がん研究会, がん研究所 細胞老化研究部, 特任研究員 (40647434)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 細胞老化 / エクソソーム / 細胞外小胞 / 糖鎖 / がん微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん微小環境に存在する間質細胞では細胞老化が誘導されており、がん関連線維芽細胞として炎症性タンパク質やエクソソームの分泌が亢進している。エクソソームは細胞から分泌される小胞であるが、この中にはタンパク質だけではなく脂質や核酸など様々な分子が含まれており、細胞間の相互作用に非常に重要であると考えられている。このエクソソームの相互受容において小胞表面の糖鎖修飾が重要であることが明らかになりつつあるが、老化細胞由来のエクソソームの表面糖鎖修飾プロファイルや機能は明らかではない。そこで、老化細胞由来のエクソソームのがん細胞への取り込みのメカニズムを明らかにし、がんの進展制御を目指している。 これまでの研究結果から、老化細胞由来のエクソソーム表面の糖鎖修飾は細胞分裂を盛んにおこなう若い細胞とは異なっており、がん細胞などの取り込み細胞への受容効率が高いことが明らかとなった。また、エクソソーム膜表面の糖鎖修飾を改変させたり、糖鎖修飾を受けている特定のタンパク質の発現を変化させたりすることによりエクソソームの受容細胞への取り込みが変化することを明らかにした。現在、がん細胞移植モデルを用いてさらに詳細にがん病態への老化細胞由来エクソソームの影響の検証を行っている。エクソソームの取り込みに関与しているタンパク質を標的にすることにより、老化細胞がエクソソームを介してがん細胞へ与えている影響を抑制し、病態の制御に寄与できると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エクソソームの取り込みに重要な糖鎖修飾を受けているタンパク質を同定し、そのタンパク質に注目して様々な検証実験を行っている。がん細胞移植モデルを用いた解析においても順調に着手しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
エクソソームの取り込みに重要なタンパク質と病態との関連をがん細胞移植モデルを用いて、さらに詳細に解析する予定である。
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