2023 Fiscal Year Research-status Report
抗がん剤耐性獲得膵がん細胞における悪性形質連関の解明と治療法開発
Project/Area Number |
22K07227
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堂本 貴寛 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (80635540)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 獲得耐性 / 浸潤 / がん幹細胞 / GSK3β |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々は、膵がんをはじめとする難治性がんに対して細胞浸潤過程とその分子調節機構をGSK3βに着目して解明してきた。そして、それらのがんで治療抵抗性に関わる幹細胞性の維持にGSK3βの活性化が関与していることを明らかにした。本研究では、膵がんの抗がん剤獲得耐性と浸潤性およびがん幹細胞性に着目し、それら悪性形質の連関をGSK3βの働きから解明するとともに、GSK3β阻害によるがん悪性連関の解除が新たな治療戦略になるかを検討する。本年度は下記の研究計画を実施した。 (1)膵がん細胞同所移植モデルマウスを用いたGSK3β阻害による抗腫瘍効果の検討 ゲムシタビン感受性膵がん細胞BxPC-3とゲムシタビン耐性獲得細胞を同所性に移植したモデルマウスを対象に、GSK3β阻害剤とゲムシタビンをそれぞれ単独、あるいは併用して薬剤の治療効果を評価した。そして、GSK3β阻害剤とゲムシタビンを併用することによって、耐性細胞であっても移植腫瘍の増大を抑制できることを見出した。また、GSK3β阻害剤をマウスに対して投与しても明らかな有害事象は観察されなかった。 (2)悪性形質(浸潤能)に対するGSK3βの作用とメカニズムの解析 ゲムシタビン耐性細胞における浸潤仮足(invadopodia)の形成と細胞浸潤に対して、GSK3β阻害剤の効果を検討した。その結果、耐性獲得によって増強された細胞の浸潤性については、GSK3β阻害剤を処理することによって浸潤仮足の形成が抑制され、耐性細胞の浸潤能を顕著に抑制できることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りにおおむね研究を進めることが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
耐性細胞に対するGSK3β阻害剤の効果と作用メカニズムの解析がおおむね計画通り進行し、マウスの治療実験についても飼育観察を終了した。次年度以降は、マウス組織の解析を主に実施する。
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