2023 Fiscal Year Research-status Report
Research and development for the neutron source of BNCT by low energy acceleration
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22K07232
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
花元 克巳 岡山大学, 保健学域, 准教授 (20335590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 悦章 岡山大学, 保健学域, 准教授 (20716237)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 焦電性結晶 / 中性子 / 低エネルギー加速 / ホウ素中性子捕捉療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
中性子と陽子を同時に測定する装置の設計を行った。焦電性結晶と対向させるターゲットの後方に,陽子を測定するための表面障壁型半導体検出器を置き,さらにその後方に中性子検出器を配置するように設計した。陽子の物質中での飛程が短いため,陽子を測定するためには薄い重水素化ターゲットが必要となる。ターゲットとして重水素化ポリエチレンを想定していたが,これは粉末状で供給されること,また,かなり高価であることから,他の重水素化ターゲットを模索した。しかし,薄膜状の重水素化ターゲットは供給がなく,また,粉末状の試料からセルフサポート膜(材料自身で保持できる膜)を作製することは困難であったため,陽子の測定は中止し,中性子のみを測定することにした。 また,焦電性結晶による中性子の発生方法として,タングステン針を使用した強電界によるイオン化を利用する方法が行われている。一方で,真空放電の分野では表面の凹凸をなくすようにした鏡面の電極間同士であっても,低い電界による電界放出が起こることが知られている。すなわち,たとえなめらかな鏡面であったとしても微小な凹凸が存在し,平面上で強電界が発生していることが知られている。これを確かめるために,鏡面研磨した焦電性結晶による電子放出の電流-電圧特性を調べた。その結果,電流-電圧特性がFowler-Nordheimの式に従うことがわかり,このことから,たとえ鏡面研磨した平面であっても強電界は発生しており,電子放出は電界放出により起こっていることを明らかにした。この成果は応用物理学会で発表した。これにより,タングステン針を使用しない平面でも中性子の放出が可能であることが示唆できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重水素ガス導入系の設計は終わったので,購入して取付作業を行う。測定系のプログラムの作成が終わったので,測定系装置を購入する。中性子発生の理論的考察はほぼ終了したのでそれに従って装置を組み立て,実際に中性子を発生させる。
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Strategy for Future Research Activity |
重水素ガスとそのガス導入系を設置し,重水素化ターゲットや焦電性結晶を配置し,中性子発生装置を作製する。中性子検出器による測定を行い,D-D反応による中性子の発生を確認する。
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Causes of Carryover |
今年度中に測定系機器を購入する予定であったが,機器選定に時間を要したため発注が間に合わず,次年度に購入することになった。
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Research Products
(1 results)