2023 Fiscal Year Research-status Report
多発性骨髄腫における抗腫瘍免疫回避の機序解明を目的とした血漿の網羅的解析
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22K07238
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
李 政樹 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (00567539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 京子 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (70270626)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / バイオマーカー / 血漿 / 代謝物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多発性骨髄腫の治療薬の耐性機序を血漿中の代謝物・エキソソームと抗腫瘍免疫能の低下との関連にて明らかにするために、耐性獲得時に採取した患者の血漿の代謝物・エキソソームを解析することを主対象としている。これまで、血漿中の産物(代謝物・エキソソーム・血小板など)が腫瘍免疫能の低下とどのようにかかわるかを探索するために、腫瘍細胞のHLA発現量に与える影響を評価した。主要な固形癌の細胞株を用いて、細胞株と健常人の血小板分画(多血小板血漿)を共培養し細胞株におけるHLA発現量の変化を調べたところ、複数の細胞株でHLAの発現上昇が見られた。一方、骨髄腫患者さんから採取された血症からエキソソームを単離し、免疫細胞へ与える影響を検証したところ、T細胞を中心とした細胞傷害性リンパ球に対して、サイトカイン産生能を低下させ、さらに活性化分子の抑制および、疲弊マーカーを誘導した。検証したほぼすべての症例の血清エキソソームに免疫抑制効果が見られた。今後さらなる、症例蓄積により検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血漿中の産物が腫瘍免疫能の低下にどのようにかかわるかを探索することを最初に取り組んだが、固形がん細胞株を用いた検証で予備的なデータが得られているものの、骨髄腫細胞株を用いた検証は未着手である。その一方で、骨髄腫患者検体の血清エキソソームによる解析が進んだたため、上記評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
主要な骨髄腫細胞株を用いて、細胞株と健常人の血小板分画(多血小板血漿)を共培養し、細胞株におけるHLA発現量の変化を調べる予定である。さらに、HLA発現以外にも、免疫チェックポイント分子などを探索する予定である。さらには、髄腫患者検体の血清エキソソームによる解析を症例数を増やして検証していき、骨髄腫におけるエキソソームによる免疫抑制効果について探索していく予定である。
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Causes of Carryover |
理由:研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。 使用計画:細胞株の購入や細胞培養に必要な試薬類を購入する。細胞株における、HLA発現や免疫活性マーカー・抑制マーカーの発現を調べるためにFACS用抗体なども購入予定である。
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