2022 Fiscal Year Research-status Report
疲弊抵抗性CAR-Tと幹細胞様メモリーCAR-Tによるがん治療
Project/Area Number |
22K07249
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
王 立楠 三重大学, 医学系研究科, 助教 (00589484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 琢磨 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (60224515)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 疲弊抵抗性のCAR-T / 幹細胞様メモリーT細胞(Tscm) / GSH前駆物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
造血器腫瘍に対して著効を発揮したキメラ抗原受容体導入T細胞(CAR-T)輸注療法の固形がんに対する適応拡大が期待されている。しかし、固形がんにおいては、輸注CAR-Tの低 浸潤性やがん微小環境に於ける外因性の免疫抑制機構(免疫抑制細胞の存在、免疫抑制分子の発現)がその有効性を損なっている。加えて、がん微小環境の貧栄養・低酸素状態における慢性的・持続的な抗原刺激がミトコンドリア機能傷害を介してCAR-Tに疲弊を誘導し、内因性に抗腫瘍機能を損なうことも明らかになってきた。この様な状況下でも優れた抗腫瘍活性が発揮・維持できるCAR-T輸注法を樹立する必要がある。本研究では、CAR-T疲弊に着目し、細胞内抗酸化因子グルタチオン(GSH)によるミトコンドリア機能維持を介して、①疲弊抵抗性のCAR-T、ならびに②高い自己複製能をもつ幹細胞様メモリーT細胞(Tscm) を誘導することで新鮮(疲弊していない)CAR-Tを生体内で供給できるTscmを含むCAR-Tを調製する培養法を確立し、その高い抗腫瘍機能を明らかにする。さらに、疲弊抵抗性・幹細胞様性質を誘導・維持する分子メカニズムを明らかにする。 2022年度 ① NAC添加・無添加で調製したCAR-Tのミトコンドリア状態(機能、形状、酸化ストレス)を検察した。 結果:NAC添加・無添加で調製したCAR-TはDay10にCAR-TはNAC添加による細胞内GSHによるROS消去し、ミトコンドリアストレス低減したことを明らかにした。② NAC添加で調整したCAR-Tが疲弊抵抗性を有するかをin vitroのおける頻回抗原刺激後のサイトカイン産生、細胞傷害の検討した。結果:CEA抗原二日1回刺激し、8日後にサイトカイン産生並びに細胞傷害機能を増強することを観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ研究計画的に進んだ。 しかしながら、実験計画予想により高い自己複製能をもつ幹細胞様メモリーT細胞(Tscm)を誘導することは再現していなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度以降 ① NOGマウスを用いた膵がん同所モデルにおけるNAC添加・無添加CAR-Tの抗腫瘍機能 (腫瘍抑制、浸潤、生存性、ex vivoでのサイトカイン産生能)を比較評価する。 ② NAC添加CAR-Tに出現するlow Δψm/high mitomassを有する亜集団(CAR-Tscmと仮定) をソートし、幹細胞的性質(分裂能、サイトカイン産生能)をhigh Δψm/low mitomassを有する亜種団と比較する。 ③ 調製直後、頻回抗原刺激後、腫瘍局所から回収したCAR-T、さらにCAR-Tscmの代謝状態やエピゲノム(特に疲弊や幹細胞に関連する遺伝子発現調節領域)を解析する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた 理由:新型コロナの原因により国際及び国内学会に参加しなかった。 使用計画:23年度実験計画によりin vivo実験用に多めにNOGマウスの購入する予定である。
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