2023 Fiscal Year Research-status Report
Fork Reversal因子POLD4を指標とした新規肺癌分子標的治療法の開発
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22K07263
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
新美 敦子 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (50508984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
俊幸 藤田医科大学, 医学部, 助教 (20538483)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | POLD4 / 複製ストレス / ゲノム不安定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺がんは年間死亡者数ががん腫中で第一位であり、発がん過程の解明、予防、治療法の開発が強く望まれている。これまでに申請者らは臨床検体と培養細胞双方から肺がんの組織型特徴的な遺伝子発現プロファイルに注目し、新規発癌メカニズムの提唱や分子標的候補の提案を行ってきた。この過程で、従来DNA複製因子として報告されていたDNAポリメラーゼδ複合体の最小サブユニットPOLD4が、DNA複製ストレス応答においてFork Reversal経路の開始機能に関与している可能性を明らかにした。本研究では、新規Fork Reversal関連因子としてのPOLD4のがん病理における分子機構を明らかにし、この経路を標的とした新たな肺がん治療法の開発を目指す。 本年度は、細胞生物学的な実験として前年に引き続き主にDNAファイバー法を用いた解析を行った。DNA複製ストレス応答機構にはFork Reversal以外にも複数の経路が報告されているが、それぞれの経路の代表的な因子をノックダウンしたうえでPOLD4発現量依存的に複製フォーク進行がどのように変化するかを解析した。また、複製フォークの動的解析を行う目的で、POLD4ノックダウンA549細胞を用いてisolate proteins on nascent DNA (iPOND)法を試み、POLD4依存的にDNA複製機構複合体に含まれる因子の探索を行った。CDXマウスモデルを用いた解析については、A549 POLD4 WT/KO細胞を用いて形成した腫瘍に対し、各種候補薬剤を用いて至適濃度や投与方法などについての条件検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
がん病理におけるPOLD4の分子機構解析について、細胞生物学的アプローチとして継続しているDNAファイバー法や新たに開始したiPOND法などを用いた解析は概ね順調に進展している。一方で、マウスモデル解析については、候補薬剤の選択や至適条件の検討等に当初予定していた期間よりも時間を要している。以上より、現在までの進捗状況は全体としては(3)やや遅れている、と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞生物学的実験については、引き続きPOLD4とDNA複製ストレス応答因子のノックダウンを組み合わせた系によるDNAファイバー法を継続し、POLD4の複製ストレス応答における役割の分子機構解明を続ける。得られた情報を基にモデルを構築し、iPOND法を用いて検証する。また、同定したPOLD4機能的相互作用因子とPOLD4の肺がん組織における相関などをTCGAを用いて解析する。
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Causes of Carryover |
当該年度の直接経費はほぼ予定通りに使用し、786円の次年度使用額が生じた。この次年度使用額については、次年度分として請求した助成金と合わせて当初の計画通り使用する予定である。
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