2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K07294
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
松下 隆彦 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (10435745)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 光免疫治療 / シリコンフタロシアニン / VHH抗体 / 多価効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、光を当てて癌を破壊する光免疫療法の発展に向けた新たな薬剤の形態として、多価型で配向制御されたVHH抗体-光感受性物質複合体をデザインして試作することで、その実現可能性を調査することにある。初年度は、VHH抗体分子と足場タンパクの簡便な接続を可能にする新規の光感受性物質の合成に取り組んだ。光感受性物質には、現行の光免疫治療に使われているシリコンフタロシアニンを基本骨格として採用した。シリコンフタロシアニンは平面性の環構造に対して上下方向に2つの軸配位子をもつ。本研究では軸配位子をアミノ化したのち、その一方にビオチン基を導入した。リン酸バッファー中、本誘導体をビオチン基と結合するタンパクであるストレプトアビジンに添加して、37℃で一晩インキュベートした。反応液をSDS-PAGEで分析した結果、ストレプトアビジンに対応したバンドにおいて、シリコンフタロシアニンに由来する蛍光が検出された。このことから、ビオチン基を導入したシリコンフタロシアニン誘導体が、ビオチン基を介してストレプトアビジンと相互作用できることが明らかになった。加えて、本誘導体の光学特性を調査した。本誘導体のUV-Visおよび蛍光スペクトルを、原料であるシリコンフタロシアニンのスペクトルと比較した結果、顕著な変化はみられなかったことから、シリコンフタロシアニンの軸配位子にビオチン基を導入したことによる光学特性への影響は少ないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標としていたビオチン含有フタロシアニン誘導体の合成を達成したことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、シリコンフタロシアニンの軸配位子の一方に、ビオチン基を導入した新規誘導体を合成した。今後は本誘導体のもう一方の軸配位子にアジド基を導入することにより、シリコンフタロシアニンの軸配位子の末端にアジド基とビオチン基が導入された二機能性フタロシアニンを合成する。
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Causes of Carryover |
VHH抗体の作製を翌年度に実施することとしたため、次年度使用額が生じた。これらの研究遂行にかかる経費に充てる。
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