2022 Fiscal Year Research-status Report
Bloom症候群モデルマウスを用いた血液腫瘍発症を予防する遺伝子治療前臨床試験
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22K07295
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
伊川 泰広 金沢大学, 医学系, 准教授 (10722043)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | レンチウイルス / Bloom症候群 / 遺伝子治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は血液腫瘍を中心とした発がん性が高いBloom症候群に対して、予防的遺伝子治療を行うことで血液腫瘍の発症を抑制することにある。Bloom症候群の細胞は遺伝子治療で必須となるサイトカイン刺激下でアポトーシスを起こすため、遺伝子導入効率を上昇させるためのサイトカイン刺激を行うことができない。そこで、サイトカイン刺激を省いても高率に遺伝子導入を行うことができるようにenvelopeを変更することとした。既報に準じて、VSVg envelopeに代わってBaboon envelopeによりpseudotypingしたBlm遺伝子を搭載したレンチウイルスベクターを作成する。しかし、Baboon envelopeを用いてpsedotypingを試みると、ウイルス産生細胞であるHEK293T細胞は形態変化を起こし、ウイルス産生量が1/1000まで減少することを我々は明らかにした。2022年度は、ウイルス産生を行う際のプロトコールを改変し、ウイルスを大量に産生させ保存することに成功した。ウイルス産生プロトコールの改変点は以下の2点である。1点目は、Poly-L-Lysinを細胞培養プレートの底面に使用することで、剥がれやすくなったHEK293T細胞を剥がれにくくした。そうすることで、ウイルス産生効率を2倍上昇させることに成功した。また、Baboon envelope plasmid量を1.2倍量に変更しtransfectionすることで、ウイルス産生量が5-10倍上昇した。私たちが樹立した改変プロトコールで、ウイルス産生効率を約20倍まで上昇させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、産生が困難とされているBaboon pseudotyped レンチウイルスを大量に産生し保存することができた。保存したウイルスを用いて、次に予定しているマウス実験に移行していく。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、Bloom症候群モデルマウス (Blm mouse)を用いて、腫瘍発症抑制実験を行なっていく。すでに、当研究室でBlm mouseをアメリカより輸入し飼育を開始している。既報に準じて本マウスに放射線照射(4Gy)を施してから250日間経過観察し、腫瘍の発症、特に胸腺リンパ腫の発症頻度を確認していく。また、並行してBlm mouseの造血幹細胞にBlm遺伝子を搭載したレンチウイルスを遺伝子導入し、DNA修復障害からの救済が可能かを検討する。遺伝子導入した造血幹細胞をマイトマイシンC刺激(MMC)、sister chromatid exchange (SCE)を用いてDNA修復障害性からの回復を評価する。in vitroでの回復実験終了後、Blm遺伝子を搭載したレンチウイルスをex vivoで遺伝子導入した造血幹細胞をBlm mouseに自家移植し、放射照射後の腫瘍発症抑制が可能かを検討していく。
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Causes of Carryover |
2022年度に獲得した独立形成基盤支援の助成金を用いて、2023年度に機器購入を予定しているため。
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