2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel cancer immunotherapies targeting functional MDSCs
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22K07302
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
船越 洋平 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (50566966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 公大 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (80535427)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | MDSC / ヒト骨髄由来免疫抑制細胞 / がん免疫 / T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
MDSCはがん免疫を抑制することより、がん治療の標的となると考えている。MDSCはM-MDSC、G-MDSC、I-MDSCの3つの集団に分類されるが、我々は、M-及びG-MDSCはT細胞活性を強く抑制するが、I-MDSCは抑制を示さないことを明らかにしている。よって、MDSCを一つの集団として治療標的にせず、「機能性MDSCを標的とすること」また、「抑制機構が異なるG-及びM-MDSCに対する個別の治療を開発すること」が必要である。 本年はM-MDSCがどのようにして免疫抑制作用を発揮するのか、そのメカニズムを解明することで、M-MDSCの標的分子を同定することを試みた。まず、我々は「MDSCは、免疫の活性化に反応し、その活性を抑制するために機能を発揮する」と仮説を立てた。この仮説に基づき、“通常の培養液”、“T細胞培養上清液”、“活性化T細胞培養上清液”でMDSCを培養しMDSCの変化を確認した。具体的には、MDSC培養液中に放出されるサイトカイン(IL-1RA、IL-4 、IL-5、IL-10。IL-11、IL-13、CLL17、GM-CSF)の測定をした。まず、M-MDSCを前述の3つの上清により培養した。我々はM-MDSCがIL-1RAを放出し免疫抑制機能を発揮していることを見出していたので、予測として、活性化T細胞培養上清液によってより多くのIL-1RAが放出されることを予測した。しかし、IL-1RAの放出に違いは認めなかった。一方、活性化T細胞培養上清液でM-MDSCを培養すると、その他の上清での培養と比較し、大量のCCL-17を放出することが明らかになった。我々はM-MDSCがCCL-17のレセプターであるCCR4を発現していることを確認しており、CCL-17/CCR4がM-MDSCの免疫抑制能の発揮に必要であり、CCR4は有望な治療標的候補と位置付けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度、活性化T細胞がM-MDSCに与える影響を確認したように、活性化T細胞がG-MDSCに与える影響についても同様の実験を行う予定であった。しかし、実験系の確立に時間を必要としたため、それには至らなかった。また、研究初年度であり文献を用いた情報収集に時間を使用したことも「研究がやや遅れている」要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
活性化T細胞とG-MDSCおよびM-MDSCの関係を引き続き研究していく。本年は活性化T細胞の上清を用いてMDSCを培養したが、逆にそれぞれのMDSCの上清が、活性化T細胞に与える影響についても併せて評価する。加えて、T細胞とMDSCの共培養での変化も観察し、T細胞とMDSCが直接接することで、これらの細胞がどのように変化するのかについても研究対象とする。これらの実験によりT細胞とそれぞれのMDSCの関係を明らかにしていく。さらに、RNA-Seq(RNAシーケンス/トランスクリプトーム解析)や表面抗原の網羅的な解析をG-MDSCおよびM-MDSCそれぞれについて行い、生物学的な特徴の詳細を明らかにしていく。様々な方向から、機能性MDSCであるM-MDSCおよびG-MDSCをそれぞれ詳細に解析していくことにより、具体的な治療標的を同定していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画の遂行に関し、実験系の確立に関する問題点の解決のため、文献的な情報収集や、予備実験など時間が必要であり、問題が解決するまで実験の進捗が遅くなってしまった。実験系は確立しつつあり、次年度は、研究を加速していく。
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