2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K07316
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 秀典 東北大学, 医学系研究科, 助教 (00407686)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ベータ波 / 大脳皮質運動野 / 認知行動 / 脳波位相 / 光遺伝学 / Phase-Amplitude Coupling / デルタ・シータ波 / 高ガンマ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳皮質の運動野の神経活動は実際の運動と密接な関係があり,運動制御に直接的な役割を果たすと考えられてきた.一方で運動野で特徴的に観測されるベータ波については視覚刺激応答がある事実から何を表現するのか不明な点が多い.本課題ではベータ波発生時に大脳皮質運動野を刺激した場合の神経・行動応答を記録することでベータ波の生理学的意味を明らかにする.刺激の有無に応じた応答を比較し,ベータ波の生理学的意味の一つとして大脳皮質における機能領域部位に依存しない脳の柔軟な情報表現を提案する. 逐次的な本研究計画において設定された実験動物(サル)の課題訓練とウイルスベクターの製作を終了し,中間目標を当該年度において達成した.サルはベータ波が特徴的に発生する運動準備期間に視覚刺激を提示され,視覚刺激の別に応じた行動を要求される弁別課題を習得した.ウイルスベクターは光感受性タンパクを発現させる光遺伝学ツールで神経刺激に使用される.以上から研究実施計画における実験準備を完了した. また神経刺激を伴わない過去に記録されたデータを詳細に解析したところ視覚刺激に応じたデルタ・シータ波帯域位相と高ガンマ波振幅の同期(Phase-Amplitude Coupling,PAC)を発見した.PACは潜在的な注意に関与する前頭眼野と運動計画の役割を担う運動前野において,運動準備期間中の視覚提示刺激に対して一過性に出現した.本結果は注意を伴う視覚情報を運動計画に変換する機構が皮質領域間を横断して並列的に存在する可能性を示唆する.振動的神経活動による皮質機能領域を交差する並列的な神経情報処理は,本申請における振動的神経活動による脳の柔軟な情報表現の提案として全脳的視点からの大局的支持となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い,実験動物(サル)に2方向の到達目標を指示する視覚提示刺激に対する遅延弁別課題を訓練し,サルは課題を習得した(正答率~80%以上).並行してウイルスベクター(AAV DJ-CAG-hChR2(H134R)-EYFP)を生理学研究所に開発製作を依頼し,その提供を受けた.以上から中期目標達成と判断する.尚,弁別課題についてはレバー操作による到達課題を計画していたが,実験課題システムの故障とその修復に時間がかかることが判明したため,ボタンによる到達課題に変更した.運動応答については動画撮影で適宜対応する.またデータ解析で明らかになった前頭眼野と運動前野におけるPACの発見は大脳皮質における振動的神経活動の情報表現形式について理解を深め,本申請における脳波の生理学的意味についての提案を研究発展させる起点となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
逐次的な本研究計画に従い,神経応答記録のために電極留置手術を実施する.術後に記録を開始し,神経・行動記録の完了を見込む.尚,シカゴ大学との共同研究において開発された光刺激用多点電極の本研究への適用を視野に含める.またデータ解析によって得られたデルタ・シータ波と高ガンマ波における知見は本申請課題を大局的に支持する可能性があるのでベータ波以外に着目した神経活動の振動現象について解析を並行して継続進行する.
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Causes of Carryover |
使用予定してた電極について,国外会社からの入手が困難な状態が継続している.実験目的を満たすよう電極の仕様を調整し,要件に沿い,かつ入手可能な電極の調達を行う.併せてその電極の使用に耐える実験装置の改造を計画する.
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[Presentation] Mapping of the macaque brain using o ptogenetic s and fMRI2022
Author(s)
Satomi Chiken, Hiromi Sano, Naokazu Goda, Hidenori Watanabe, Taku Hasegawa, Daisuke Koketsu, Kenta Kobayashi, Satomi Kikuta, Yuko Fukata, Masaki Fukata, Hajime Mushiake, Norihiro Sadato, Masaki Fukunaga, Atsushi Nambu.
Organizer
The 7th CiNet Conference: New horizons in brain mapping
Int'l Joint Research
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