2022 Fiscal Year Research-status Report
逆向現象(postdiction)の基盤となる神経ネットワークの解明
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22K07326
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
勝山 成美 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 特定助教 (00291906)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Postdiction / Perception / Macaque monkey / multimodal integration |
Outline of Annual Research Achievements |
ある刺激に対する知覚が、時間的に後から与えられた刺激の影響を受けて変化し、その刺激が単独で呈示された時とは異なる知覚が生じる現象を、逆向現象(postdiction)という。逆向現象が生じるには、後続する刺激の処理が、すでに進行している先行刺激の処理と相互作用する必要があるが、このような処理が脳のどこで、どのように行なわれているかはわかっていない。そこで本研究では、サルを使った行動実験と電気生理実験、およびヒトを対象とした脳の機能イメージング実験によって、逆向現象の神経メカニズムを解明することを目指す。 実験には、聴覚刺激(ビープ)の影響によって視覚刺激(フラッシュ)の数が実際に呈示されたものより多く知覚されるillusory flash現象と、少なく知覚されるinvisible flash現象という逆向現象課題を用いた。まずサルの行動実験では、サルにフラッシュの数を弁別する課題を訓練し、illusory flash条件とinvisible flash条件の刺激を呈示した。その結果、invisible flash条件において3つ呈示したフラッシュを2つしか知覚しないことがわかった。このことは、サルでもヒトと同様に逆向現象が生じることを示している。ただし、illusory flash条件では、2つ呈示したフラッシュが3つに知覚されることはなかった。この結果を、2022年7月の第45回日本神経科学大会で発表した。次にヒトを対象とした脳機能イメージング実験では、実験を行なう機関(新潟大学脳研究所)において、スキャンノイズ下でillusory flash現象やinvisible flash現象が生じるかどうかを検証した。その結果、MRIスキャナ内でも先行研究のように、illusory flash現象とinvisible flash現象が生じることを示唆する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サルの行動実験については、この研究をもとに修士論文を作成する大学院生がおり、サルの訓練時間に時間的な制約があったことから、サルの視線を固定しない状態で課題を訓練した。その結果、invisible flash現象は観察されたが、illusory flash現象は観察されなかった。ヒトを対象とした先行研究では、研究参加者の視線を固定し、視覚刺激を周辺視野に呈示していることから、サルでillusory flash現象がみられなかった理由のひとつとして、視線を固定しなかったためにサルが刺激を中心視野で捉えていたことが考えられた。そのため、サルの視線を固定したうえで、あらためてinvisible flash課題とillusory flash課題を再訓練している。
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Strategy for Future Research Activity |
サルの行動課題については、進捗状況の項に記載した通り、サルの視線を固定した上で周辺視野に刺激を呈示し、illusory flash現象とinvisible flash現象がみられるかどうかを調べる。ただ、少なくとも後者においてはサルでも生じることが明らかになったので、同時にサルの大脳皮質から神経活動を記録する準備を進める。 ヒトのfMRI実験については、スキャンノイズ下でillusory flash現象とinvisible flash現象を最大化するためのパラメータ(フラッシュの明るさ、時間的・空間的な間隔、ビープの音圧など)を求める予備実験を行なう。その後、そこで求めたパラメータを用いて、本実験を行なう。
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