2022 Fiscal Year Research-status Report
7テスラfMRIによる触覚知覚を司る大脳皮質層別の情報処理機構の解明
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22K07327
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
于 英花 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 特任助教 (60812039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 雅喜 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 准教授 (40330047)
楊 家家 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 研究准教授 (30601588)
呉 景龍 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 教授 (30294648)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 触覚予測 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
触覚情報は,脊椎や視床などを経由して大脳皮質の中心後回にある一次体性感覚皮質(S1)に到達した後,より高次脳領域へ伝達されることが知られている。その後,S1と高次脳領域間の皮質層(レイヤー)レベルで構成されるミクロな神経回路を通じて,双方向の情報処理を実現にし,触覚の知覚を形成されると考えられるが,そのメカニズムは未だ解明されていない。本研究では,7テスラ超高磁場fMRIを用いて,S1と高次脳領域間のレイヤー情報処理機構の理解を通じて,触覚知覚を司る脳機能をレイヤーレベルで解明することを目標としている。前記の目標達成に向けて,初年度では被験者の小指から人差し指に向けてリズミカルに刺激する際に「人差し指はいつに刺激されるか」を予測させる触覚刺激予測パラダイムを用いて,触覚情報処理に関する全脳活動を同定するfMRI実験を行った。この実験により触覚刺激タイミング予測に関わる第一,二次体性感覚皮質を含む全脳情報処理ネットワークの同定ができ,次年度の研究随行に必要不可欠な知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は,触覚刺激タイミング予測に関わる全脳情報処理ネットワークの同定と,予測と予測誤差に関係する高次脳領域の同定である。本年度では,代表者が提案した触覚刺激予測パラダイムを用いたfMRI実験を実施し,被験者15名分のデータを収集した。その後の解析により,触覚刺激タイミングを予測する際に第一と二次体性感覚皮質を含む広範囲の脳活動が見られた。さらに,人差し指の刺激タイミングを遅らせ,予測誤差を生じた条件では予測誤差がない条件に比べて前頭前皮質と帯状回皮質において顕著な活動が認められた。この結果は,前頭前皮質と帯状回皮質は触覚刺激タイミング予測誤差処理に関係している可能性を示唆した。以上のように,次年度の研究実施に必要不可欠なデータと知見が得られ,本研究課題は概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では,全脳データの解析をさらに進め,第一と二次体性感覚皮質と高次脳領域の機能的な結合を検討し,予測誤差処理における前頭前皮質と帯状回皮質の機能的役割を検討する。次に,7テスラ超高磁場レイヤーfMRI撮像シークエンスと撮像範囲を決定し,触覚刺激タイミング予測実験のレイヤーfMRIデータを取得・解析する。
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Causes of Carryover |
実験刺激装置製作は計画当初より安価でできたため,出費が減ったが,次年度の実験実施費用に当てる予定である。
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