2022 Fiscal Year Research-status Report
正答のない意思決定を導く制約条件間の関連:認知と神経の数理モデルを併用した検討
Project/Area Number |
22K07328
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中尾 敬 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (40432702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片平 健太郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (60569218)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,一意な正答のない不良設定下における複数の制約条件間の関連について検討し,意思決定プロセスを認知と神経の両レベルから明らかにすることである。 本年度は,自発的脳活動の時間的一貫性(long-range temporal correlation; LRTC),波形の複雑性 (Lempel-Zip complexity; LZC),及び神経回路モデルのパラメータである興奮・抑制バランスの推定値といった指標を算出し,外的基準から内的基準による意思決定への影響と自発脳波との関連について検討を行った。 外的基準による意思決定で高い価値が学習された刺激が内的基準による意思決定でも好まれることから,外的環境からのフィードバックを通して学習された価値が,不良設定下でも制約条件として機能していることが明らかとなった。しかしその一方で,そのような外的基準での高い価値を有する刺激は,内的基準による意思決定で新奇に学習された最も価値の高い刺激ほどは好まれないという現象(内発的に学習された価値の優位性)も認められ,自らの基準で選ぶという経験により形成される価値が独自の制約条件として不良設定下で機能していることが示された。さらにその内発的に学習された価値の優位性の個人差が自発脳波の自己相関の持続性の変化量と関連することも明らかとなった。内的基準による意思決定を通してより価値を学習する人ほど自発的脳活動の自己相関の持続性が変化することから,内的基準という心理レベルの制約条件と神経レベルの制約条件である自己相関の持続性とに関連があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自発脳波の指標についての検討は,すでに収集していたデータを用いて解析を行った。 また、意思決定時のデータについても収集を終えており、すでに解析も一部終えていることから、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
更に解析を進めた上で、論文化の作業に取り掛かる予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた解析用PCの更新等を急ぐ必要がなくなったため、次年度以降に回すこととなった。また、投稿していた論文がリジェクトとなってしまったため、次年度以降に出版費用を繰り越すこととなった。
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