2022 Fiscal Year Research-status Report
異なる神経経路が行動を両方向に制御するメカニズムの解明
Project/Area Number |
22K07329
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
人羅 菜津子 熊本大学, 大学院生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センター, 特任助教 (40762191)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 神経科学 / 不安障害 / 記憶学習 / 光遺伝学 / ファイバーフォトメトリー法 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去の記憶や周囲の環境に応じた行動選択は生物の生存にとって重要であり、葛藤状況においては、報酬刺激に誘発されて行動を促す「Go シグナル」と、嫌悪刺激に誘発されて行動を抑制する「No-go シグナル」のバランスによって、行動を起こすべきか否かが決定されると考えられる。この研究では、Go / No-go シグナルが競合する際に、両メカニズムを切り替えて、適切な行動を選択するための脳内メカニズムを解明することを目的とする。 過去の研究において、大脳皮質-脳幹回路が恐怖を乗り越えて報酬を獲得することに関わることを発見した。本研究では、同経路がどのような他の脳領域と相互作用して機能を発揮しているのかを解明する。マルチサイトファイバーフォトメトリー法により、自由行動下のマウスから複数の神経回路活動を同時に記録し、行動との関連、および、回路同士の活動の相関を調べることにより、複数の神経回路が行動をダイナミックに制御する様子を捉える。また、光遺伝学的手法により神経回路の活動を人工的に活性化あるいは抑制し、行動に与える影響を調べることにより、神経回路の活動と行動の因果関係を明らかにする。 これまでに、下流メカニズムの解明を目指して、脳幹から延髄への神経投射の光遺伝学的手法による制御が行動に与える影響を検討した。その結果、ターゲットとする脳領域や使用するウイルスベクター等は同じであるにも関わらず、複数の行動パターンを示すマウスに分かれることを見出している。今後は、この神経回路が複数の機能を有するという仮説のもと、それらを区別するために、遺伝子発現パターンの解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、脳幹から延髄への神経投射の光遺伝学的手法による活性化により、複数の行動パターンを示すマウスが現れることを見出しており、研究の進捗状況はおおむね順調と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
脳幹から延髄への投射経路に着目し、遺伝子発現パターンの解析を進め、同経路が複数の機能を有するメカニズムの解明を進める。
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由)産休及び育休の取得に伴い研究を一時中断したため。 (使用計画)脳幹から延髄への投射経路の遺伝子発現パターン解析のために必要な、動物、ウイルスベクター、試薬等の消耗品を購入する。
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Research Products
(2 results)