2023 Fiscal Year Research-status Report
生理的機能を有するALS細胞モデルの構築とその病態解析
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22K07356
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大友 麻子 東海大学, 医学部, 講師 (50535226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秦野 伸二 東海大学, 医学部, 教授 (60281375)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / ALS / 上位運動ニューロン / 下位運動ニューロン / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis, ALS)は、大脳皮質運動野の上位運動ニューロン(UMNs)と脳神経及び脊髄前角の下位運動ニューロン(LMNs)の選択的変性と脱落を特徴とする進行性の神経変性疾患である。本研究では、ALS疾患特異的障害部位である、UMNsとLMNs、及びLMNsと骨格筋(MSCs)の機能的な結合、さらにはUMNsとLMNs及び MSCs の結合を有する新たなALS細胞モデルを構築することを目的とする。本年度は、新たな細胞材料の開発とその細胞表現型の評価を進めた。ALS疾患モデル細胞として、上位運動ニューロン優位型のALS2型(ALS2変異)と、下位運動ニューロン優位型ALS6型(FUS変異)に着目した。健常者由来の人工多能性幹細胞(iPSCs)、そのALS2ノックアウトiPSCs、及びその同一遺伝子背景にFUS変異を持つiPSCsをモデルの作製に用いた。それらiPSCsを用いて、LMNsの運命決定遺伝子をテトラサイクリン依存的に発現する遺伝子カセットを導入し、安定的にそれらを発現する細胞をプールとして確保した。健常者、ALS2型、FUS型のiPSCsを下位運動ニューロンへと分化誘導後、細胞生存率について解析を行った結果、分化誘導後2-3週間の時点においてもFUS細胞モデルにおいて顕著に細胞生存率が低下していた。ALS2細胞モデルを作製するために、UMNsモデル細胞の誘導をLMNsと同一の手法を用いて試みた。UMNsモデル細胞を誘導後、細胞の性質を明らかにするためにmRNA-sequencing 解析を行った結果、グルタミン酸作動性神経細胞を主とする細胞集団であることを確認した。また、MSCsについてもiPSCsに特定の遺伝子を発現させ、myoblast細胞を誘導後、一定条件下でmyotube誘導方法を確立した。現在、UMNsモデル細胞とLMNsの共培養の培養期間や培養条件設定を進めている。本年度は、細胞同士の共培養による細胞同士の機能的結合を有するALS細胞モデルの構築と解析を進める計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
UMNsモデル細胞とLMNsの共培養の培養期間や培養条件設定を進めているが、両者のシナプス形成に有する期間が、想定していたより長く(現段階では40日以上が必要であることが判明しつつある)、実験の条件設定などに、時間を必要としている。現在、培養期間以外の培養条件の設定を継続して行っている。また、研究立案の段階では、スフェロイド様の細胞同士を用いた共培養系の確立と解析を主眼としていたが、解析の際に定量化が難しいこと、再現性が得にくいことなどの問題が生じている。そのため、マイクロデバイスを用いた平面における共培養などの様々な培養方法及び評価方法についても実験計画に導入し、その評価について検討する計画である。これらの手法を用いて、細胞同士の共培養による細胞同士の機能的結合を有するALS細胞モデルの構築と解析を進める計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
UMNsモデル細胞とLMNsの共培養の培養期間や培養条件設定を進めているが、両者のシナプス形成に有する期間が、想定していたより長いことが判明した。2種の神経細胞のみでは、シナプス形成効率が低いことが示唆される。そのため、シナプス形成を補助するグリア細胞などの共培養や、細胞外のマトリックスなどの細胞培養環境についても検討する必要がある。特に、アストロサイトとの共培養は、シナプス安定性などに一定の効果が期待できるため、アストロサイトとの共培養を試みる。また、研究立案の段階では、スフェロイド様の細胞同士を用いた共培養系の確立と解析を主眼としていたが、解析の際に定量化が難しいこと、再現性が得にくいことなどの問題が生じている。そのため、マイクロデバイスを用いた平面における共培養などの様々な培養方法及び評価方法についても実験計画に導入し、その評価について検討する計画である。これらの手法を用いて、細胞同士の共培養による細胞同士の機能的結合を有するALS細胞モデルの構築と解析を進める計画である。
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Causes of Carryover |
機能的な結合を有するALS 細胞モデルが確立された後に、mRNA-sequencing 解析を行う計画であり、本年度までに解析に必要となるサンプルの準備が終了しなかった。そのため、それらの実験に必要な消耗品費や受託解析費用を次年度に持ち越して使用する計画である。また、予定していた学会参加や、旅費などは本学が行う他の研究助成の補助が得られたため、そちらを利用することができたため、これらの旅費については、次年度使用を予定している。
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Research Products
(8 results)