2023 Fiscal Year Research-status Report
新規動的分子ネットワーク解析で紐解く小脳失調症の超早期病態
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22K07365
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤田 慶大 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 非常勤講師 (40792205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 秀典 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, プロジェクト准教授 (80553958)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | iPS細胞 / プルキンエ細胞 / 脊髄小脳失調症1型 / RNA-sequence / ネットワーク解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き、脊髄小脳失調症1型 (SCA1)患者由来iPS細胞、embryoid body (EB)、および分化プルキンエ細胞の三種類の細胞を準備した。iPS細胞とembryoid bodyは、単独培養下で回収した。プルキンエ細胞は、マウスフィーダー細胞(マウス菱脳唇由来顆粒 細胞)と二層培養後、プルキンエ細胞マーカーによる免疫染色後、FACSにより細胞を回収した。これら細胞から、RNAを抽出し、RNA-sequenceを行い、各細胞フェーズにおける遺伝子発現変化を比較した。今回の研究では、これまで生後脳および死後脳での解析が主だったが、さらに時間的に繰り上げて、受精直後のES細胞に相当するiPS細胞から解析を始め、受精から発生段階、誕生から発症、そして個体死に至る全過程を解析(トータルシミュレーション)しようと試みた。さらに、複数時系列の多次元データのベクトル解析から、相関・因果関係を有した遺伝子群を絞り込む独自のアプローチ(時系列分子ネットワーク解析法: iMAD)から、分子病態を制御する中核遺伝子(ドライバー遺伝子)を、いくつか同定した。このうち、プルキンエ細胞のフェノタイプ異常につながる、分子ネットワークの最上流において制御する遺伝子をピックアップした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の5項目中、昨年度までに2項目(1. iPS細胞からプルキンエ細胞までの細胞フェノタイプ解析、2: iPS細胞・embryoid body・分化プルキンエ細胞における遺伝子発現解析)を達成していた。本年度は、さらに1項目(3: 細胞フェーズ間の遺伝子発現変動の動的ネットワーク解析)を実施し、候補ドライバー分子をピックアップすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた候補ドライバー分子が関与する病態が、研究開発代表者が所属する研究室が提唱する、発症のはるか以前に起こる超早期病態とどう関係するかを明らかにする。また、初期病態を反映するバイオマーカー探索にもつなぐ観点で研究を進める。
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