2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K07380
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
小清水 久嗣 藤田医科大学, その他部局等, 教授 (10610842)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 直樹 昭和大学, 医学部, 講師 (00450601)
鈴木 辰吾 香川大学, 医学部, 准教授 (50451430)
松岡 秀忠 横浜薬科大学, 薬学部, 准教授 (90374991)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | CRH結合蛋白質 / CRH-BP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中脳黒質緻密部においてコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)結合蛋白質(CRH-BP)およびCRH受容体(CRHR)、脳由来神経栄養因子(BDNF)は高発現を示すが、これらの遺伝子は特定の運動障害疾患において顕著に発現が低下する。CRH-BPが黒質ドパミンニューロンやその投射先においてCRHの機能発現を制御している可能性や、神経細胞死・生存維持に関与している可能性が想定される。1)黒質ドパミンニューロンおよびその投射先である線条体等におけるCRH-BPによる CRHシグナル制御の分子機構、 2)その機能的意義をラット脳において生化学・分子遺伝学的解析およびインフォマティクス解析により調べることを目標とする。 分担研究者らとラット脳を用いたパイロット実験を行い、初代培養の条件の検討を実施。しかしながら神経細胞の生細胞数が十分でなく実験に供することができなかった。引き続き、初代培養を行うほか、市販の細胞を用いた培養系についても検討する。 in silico 解析での先行研究において、CRH結合蛋白質(CRH-BP)とCRHの結合体がCRH受容体(CRH-R)に結合できる可能性が示されている。これを踏まえ、CRH-BP-CRH結合体とCRH-Rの結合が、CRH単独でのCRH受容体との結合より安定かどうかについて、複数の協力研究者とin silico解析での予備的検討を行った(暫定の予測結果については非公開)。 これらの状況を踏まえ23年度以降の計画を実施する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分担研究者らとラット脳を用いたパイロット培養を行い、培養条件の検討を実施。しかしながら神経細胞の状態が十分でなく、想定している実験に用いることができないと判断した。引き続き初代培養を実施するほか、市販の細胞を用いての実験も検討する。遅延した計画について後述の通り23年度以降実施する。
|
Strategy for Future Research Activity |
①CRHシグナル制御の分子機構解明 a) 中脳黒質ドパミンニューロンおよびその投射先である線条体等のニューロンについて、CRH刺激を行ない、生化学的解析・トランスクリプトーム解析によって、CRHシグナル経路の同定を行う。b) DNF刺激を与えたニューロンでトランスクリプトーム解析および生化学的解析によりBDNFシグナル経路を同定する。c) 黒質ドパミンニューロンおよび線条体等のニューロンにおけるCRH-BPの輸送・放出等の細胞内分子動態を調べる。CRH-BP-pHluorinを遺伝子導入し、同分子の細胞内輸送・放出についてライブセル・イメージングを行う。CRH-BPの放出を誘導すると想定される様々な因子を検証する。 ②CRH-BP の機能的意義の解明 a)放出されたCRH-BPとCRHとの結合のCRHシグナルへのインパクトを検証する。①-c) でCRH-BPを発現させた細胞をCRHで刺激し、CRH-BPの輸送や分泌への影響を観察、①-a)で得られたCRHの下流シグナル分子の状態を生化学的解析および定量PCR法などにより評価する。b) プログラム細胞死を誘導。ドパミンニューロンやその投射先である線条体等のニューロンの細胞生存に対するCRHの作用および、CRHの作用に対するCRH-BPの影響を評価するほか、BDNFの神経保護作用に対する効果についても調べる。神経細胞死の促進および抑制の過程におけるシグナル変化を生化学的手法やトランスクリプトーム解析などにより追跡、シグナル経路を明らかにする。c)上記②-b)の解析で得られたドパミンニューロンおよび線条体等のニューロンの細胞死における遺伝子発現パターンについて、インフォマティクス解析により、細胞死を抑制し、生存を促進する条件(薬剤等)候補を絞り込む。インフォマティクスで得られた候補条件をin vitroで効果を評価する。
|
Causes of Carryover |
前述の通り初年度において培養系の立ち上げにおいて遅延あり、初年度に計画していたいくつかの実験計画について23年度での実施を行う必要が生じた。そのため22年度の研究費の一部について23年度への繰越を行った。23年度は「今後の研究の推進方策」で示した通りに研究を実施する。
|