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2023 Fiscal Year Research-status Report

内臓痛特有の痛みをもたらす脊髄神経回路の同定とそのin vivo機能解析

Research Project

Project/Area Number 22K07383
Research InstitutionKansai Medical University

Principal Investigator

西田 和彦  関西医科大学, 医学部, 助教 (80448026)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 片野 泰代  関西医科大学, 医学部, 准教授 (60469244)
松村 伸治  関西医科大学, 医学部, 准教授 (70276393)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords内臓痛 / 脊髄後角
Outline of Annual Research Achievements

内臓痛特有の痛みに関与する脊髄後角神経回路の有無を検証するのが本研究の目的である。昨年度までの先行研究により、(1)DSS飲水投与による潰瘍性大腸炎マウスモデルを構築し、(2)このマウスの脊髄においてBrn3a陽性脊髄後角ニューロンの神経活動が強く上昇することを確かめ、(3)内臓痛の痛みのレベルを顔表情解析ソフトPainFaceにより定量解析する系を構築した。
そこで本年度はDSSモデルマウスでの内臓痛伝達におけるBrn3a陽性ニューロンの関与を、DREADD、DTAを用いた神経機能調節、およびPainFaceを用いた内臓痛行動解析系により直接検証した。まず、Brn3a-Creマウスの第6腰髄から第1仙髄の領域にCre依存的抑制性DREADD遺伝子を持つアデノ随伴ウイルスを注入し、Brn3a陽性ニューロン特異的にDREADDを発現させた。このマウスの腹腔内にDREADDリガンド(JHU37160)を投与して神経機能を阻害し、その前後におけるPainFaceスコアを調べた。しかしながら、JHU37160はコントロールマウスに対しても経時的にPainFaceスコアを変動させたことから、この解析方法が実験目的を果たす適切な方法ではない可能性が考えられた。
次に、DTA発現アデノ随伴ウイルスを上記と同様に脊髄に注入し、Brn3a陽性ニューロンの除去を試みた。ウイルス導入後にDSS飲水投与を約1週間行い、DSS投与前後のPainFaceスコアの比較、およびBrn3a陽性ニューロンを除去していないコントロールマウスとの比較を行った。しかしながら、Brn3a陽性ニューロンの除去によるPainFaceスコアの減少は認められなかった。以上の解析から、Brn3a陽性脊髄後角ニューロンは内臓痛による顔表情変化という表現型以外の何らかの過程に関与する可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

アデノ随伴ウイルス発現系により、脊髄後角ニューロンの特定のサブタイプの神経機能抑制、細胞除去をする系は確立できた。この実験手法を用いて、Brn3a陽性ニューロンの神経機能抑制、細胞除去したマウスでの内臓痛行動解析を行ったが、顕著な変化は認められなかった。したがって、予定通りの解析は行うことができたものの、当初想定していた研究結果を得ることはできなかった。

Strategy for Future Research Activity

本研究で着目した脊髄後角Brn3a陽性ニューロンに関して、そのアイデンティティの探索、および内臓痛以外の体性感覚への関与の解析を幅広く進めていく。
第一に、脊髄後角Brn3a陽性ニューロンに発現するマーカー分子の探索、軸索伸長パターンの解析を行う。Brn3a陽性ニューロンのうち特に後角深層に発現する集団に着目して、これらを標識すると予想される分子マーカーとの共染色、およびこれらニューロンの軸索伸長パターンの解析を逆行性軸索トレーサーによる標識を用いて行う。
第二に、Brn3a陽性ニューロンをジフテリア毒素により除去したマウスを用いて、内臓痛以外の感覚への応答性を調べる。皮膚への機械刺激、熱刺激等の急性疼痛刺激への応答に加えて、ホルマリン、CFAによる慢性疼痛刺激への応答性、さらにアロディニアとの関連についても調べる。
第三に、Brn3a陽性ニューロンの発生における転写因子Brn3aの機能を調べるために、Brn3aの下流で発現誘導される遺伝子の探索を行う。この解析により、Brn3aの下流で発現誘導される軸索ガイダンス因子、神経伝達物質に関する情報が得られれば、感覚伝達におけるこのニューロンの機能の理解が深まると共に、当初予想していた内臓痛伝達との関連の解明に道が開けると期待している。

Causes of Carryover

当初行う予定であった内臓痛モデルマウス作成、アデノ随伴ウイルス発現を継続的に行わず、研究計画を一部修正することとなり、当初予想していた使用額よりも少なくなった。新規の研究計画に含まれるBrn3a陽性ニューロンの下流因子の探索などはまとまった予算が必要であり、今年度の予算の余剰分は次年度以降にまとめて予算執行する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Int'l Joint Research] Transylvania University of Brasov(ルーマニア)

    • Country Name
      ROMANIA
    • Counterpart Institution
      Transylvania University of Brasov
  • [Journal Article] Brn3a controls the soma localization and axonal extension patterns of developing spinal dorsal horn neurons2023

    • Author(s)
      Nishida K, Matsumura S, Uchida H, Abe M, Sakimura K, Badea T, Kobayashi T.
    • Journal Title

      PLoS ONE

      Volume: 18(9) Pages: e0285295

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0285295

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Remarks] 関西医科大学医化学講座

    • URL

      https://kmu-medchem.jp/

URL: 

Published: 2024-12-25  

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