2022 Fiscal Year Research-status Report
Basic research for elucidating the mechanism of psychogenic fever and establishing its treatment
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22K07404
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
岡 孝和 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (60291514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Lkhagvasuren Battuvshin 国際医療福祉大学, 医学部, 講師 (70920487)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 心因性発熱 / ストレス過剰反応性 / ストレス性高体温 / 機能性高体温症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、心因性発熱の機序解明、治療法を確立するために3つの基礎研究(研究1、2、3、研究4は予備)と1つの臨床研究(研究5)を、3年間で行う予定である。 研究1では、新規な急性ストレスに暴露された時に生じるストレス性高体温反応(stress-induced hyperthermia, SIH)が、慢性ストレスに暴露されたマウスでは、そうでないマウスに比べてより顕著に生じるかどうかを検討するものである。SIHが過剰に生じる慢性ストレス条件が特定できれば、研究2、3で慢性ストレスに曝露されたマウスのSIH増強効果にミクログリアの活性化が関与するかという点について、薬理学的および解剖学的検討を行う。2022年度は、研究1、2、3に関する動物実験計画書を当大学の動物倫理委員会に提出し、研究の承認を得た。研究に必要な備品を購入し、すでに研究1のパイロット研究に着手している。当初、慢性ストレスとして6日間の社会的敗北ストレスを予定していたが、現在、拘束ストレスなど多くのストレスを用いてパイロット研究を行ない、SIH増強効果を生じる慢性ストレス条件について検討している最中である。研究5は心因性発熱患者において実験的ストレスに対する過剰反応性が存在するかどうかという点について、健常者と心因性発熱患者に実験的ストレスを負荷し、体温変化の差を検討するものであり、現在、倫理委員会に研究計画書を提出準備中である。倫理委員会の承認が得られれば、研究に着手する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、研究1に関して倫理審査で承認を得て研究に着手すること、研究2、3に関しては2023年度に倫理審査で承認を得る予定でいたが、すでに研究1、2、3の承認を得ており、研究1に着手している。研究5については、2022年度に倫理委員会での承認を得る予定であったが、現在、研究計画書を提出準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1では、マウスを用いて、新規な急性ストレスに暴露された時に生じるストレス性高体温反応(stress-induced hyperthermia, SIH)が顕著に生じるような、先行する慢性ストレスの条件を見いだす。SIHが過剰に生じる慢性ストレス条件が特定できれば、そのストレスモデルを用いて、研究2:慢性ストレスに曝露されたマウスの顕著なSIHがミノサイクリン(ミクログリア活性化抑制薬)によって抑制されるかどうか検討する。さらに研究3:慢性ストレスの曝露により顕著なSIHを生じるようになったマウスでは、SIHを媒介する脳内経路、つまり背側脚皮質/背側蓋紐、視床下部背内側核、淡蒼縫線核などのニューロンが活性化しているか、またその領域のミクログリアが活性化しているか、これらの現象がミノサイクリンの前処置によって抑制されるかなどの点について組織学的に観察する。研究5、つまり心因性発熱患者において、実験的ストレスに対する過剰反応性が存在するか、もし存在するとすれば、その現象を最も反映する身体部位はどこかを検討する研究に関しては、まず倫理委員会で研究計画の承認を得る。その後、成人心因性発熱患者と、性と年齢を一致させた健常人に、鏡映描写試験、内田クレペリン試験、寒冷昇圧試験などのストレス負荷を行い、その前後で、赤外線サーモグラフィーカメラを用いて複数個所の体温を測定、比較する。2023年度、これらの研究を開始し、2年間で結果を得る。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で、情報収集のために参加する予定の学会の多くがウエブ配信となったため、当初の予定ほど旅費、その他の項目の経費がかからなかった。本年度は本格的に研究を開始し、現地開催の学会発表を予定しているので、2022年に使用しなかった旅費、その他の項目の経費も使用する予定である。
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