2022 Fiscal Year Research-status Report
肺構成細胞特異的な細胞老化制御による加齢関連肺疾患の発症機序の解明
Project/Area Number |
22K07409
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
竹之内 康広 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30582233)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 安雄 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80293877)
坪井 一人 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (80346642)
北風 圭介 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80840545)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 老化 / 線維化 / 肺胞上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な加齢関連疾患の発症や病態悪化に対し細胞老化の関与が強く示唆されており、特発性肺線維症でも肺構成細胞の老化が多く観察されている。しかし、肺を構成する各細胞の老化の病態生理学的役割については不明な点が多い。我々はこれまでに、細胞老化による線維化関連因子の発現変化が肺構成細胞の種類によって異なる結果を得ており、線維化における各細胞の老化の役割の重要性が示された。本研究では、細胞老化の誘導因子であるp16を肺構成細胞特異的に欠損させたマウスを用い、肺線維症における老化した各肺構成細胞の病態生理学的役割を明らかにする。 2022年度は肺胞上皮細胞特異的p16ノックアウトマウス(cKO)を用いた検討を行った。ブレオマイシンの腹腔内への反復投与により肺線維症モデルを作成し、肺線維症の指標となる肺胞洗浄液中の肺胞洗浄液中の細胞数、タンパク濃度および可溶性コラーゲン濃度を測定した。その結果、ブレオマイシン投与によりこれらの数値の上昇が見られるが、対照群に比べcKOマウスの方が低い値を示した。次に、肺組織切片を用いてHE染色およびコラーゲンを染めるマッソントリクロム染色を行った。その結果、ブレオマイシン投与によりcKOでも対照群でも間質や肺胞への細胞浸潤の増大およびコラーゲン蓄積が見られたが、対照群に比べcKOの方がこれらの所見が減少していた。以上の結果から、ブレオマイシン腹腔内反復投与肺線維症モデルマウスにおいて、p16を介した肺胞上皮細胞の老化は肺の線維化を促進する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は肺線維症における老化した各肺構成細胞の病態生理学的役割を明らかにすることを目的としている。今年度は肺胞上皮細胞の老化が肺の線維化に及ぼす影響を検討した。肺線維症モデルマウスを用いたこれまでの我々の検討で、肺構成細胞のうち特に肺胞上皮細胞とマクロファージがp16を介した老化を引き起こしていることを明らかにしている。そのうちの一つである肺胞上皮細胞の老化をp16欠損より抑制することにより肺の線維化が軽度になったことから、老化肺胞上皮細胞が深く関与していることが示唆された。よって、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
老化肺胞上皮細胞が肺の線維化を悪化させることが示されたため、老化により変動するシグナル分子について検討する。マウス肺から磁気ビーズ細胞分離法により肺胞上皮細胞を単離した後、遺伝子発現およびタンパク発現を検討することで、変動するシグナル分子を探索する。また、これらの分子が線維化にどのような影響を与えるか単離細胞および培養細胞を用いた検討を行う予定である。
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Research Products
(3 results)