2022 Fiscal Year Research-status Report
地域一般住民における心理社会的因子が慢性疼痛とQOLに及ぼす影響:久山町研究
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22K07421
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柴田 舞欧 九州大学, 医学研究院, 助教 (20734982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / 心拍変動 / 自律神経機能 / ADL / 地域住民 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年は既存データセットを用いた解析を行った。また、2023年の調査へ向けて、調査地域の自治体との調整や質問紙ソフトの開発、物品調達等の準備を行った。自律神経機能と慢性疼痛者のADLの関連について下記の研究成果が得られた。 【目的】慢性疼痛を有する地域住民を対象に、心拍変動で評価した自律神経機能と日常生活動作における自覚・他覚症候の有無の関連を検討した。 【方法】2017-2018年の住民健診を受診し、慢性疼痛(3カ月以上前からある痛み)を有する40-79歳の住民888人(平均60.7歳、男性35.5%)を対象とした。心拍変動は、加速度脈波計を用いて安静時3分間の指尖脈波を測定し、low frequency(LF:交感神経・副交感神経機能の指標)、high frequency(HF:副交感神経機能の指標)を、男女別に4分位で分類した。Modified Rankin Scale≧1点を日常生活動作における自覚・他覚症候ありとした。統計解析はロジスティック回帰分析を用い、年齢、性別、教育年数、高血圧、糖尿病、血清総コレステロール値、BMI、心疾患既往歴、慢性疾患既往歴、外傷・手術既往歴、喫煙習慣、飲酒習慣、運動習慣、抑うつ症状で調整した。 【結果】対象者のうち、350名(39.4%)に日常生活動作における自覚・他覚症候を認めた。日常生活動作における自覚・他覚症候を有するオッズ比(95%信頼区間)は、LFでは1.90(1.25-2.92)、1.38(0.92-2.09)1.14(0.75-1.73)、HFでは1.75(1.15-2.66)、1.62(1.08-2.46)、1.45(0.96-2.20)と心拍変動の低下に伴い有意に上昇した(全傾向性P<0.05)。 【考察】慢性疼痛を有する地域住民において、自律神経機能低下は日常生活動作における自覚・他覚症候の存在と関連した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年は当初の計画通り、来年度の調査へ向けて準備をした。 1)調査地域の自治体へ研究計画の説明を行い、連携を強化した。 2)質問紙調査のためのタッチパネルソフトを開発、入力ソフトを完成させた。必要な物品の購入を行った。 3)2023年の調査対象者へ周知活動を行った。 4)国内外の学会に参加し、この分野の最新の知見を収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、地域住民2700名を対象とした質問紙調査を実施予定である。対象者への周知活動やスタッフの雇用を行い、7月から9月まで全35日間の調査を実施予定。データ出力ソフトの作成やデータクリーニングも行う予定である。
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Causes of Carryover |
必要な経費を使用後、残額端数として6,423円の次年度使用額が残った。端数を調整するための無駄な出費を避け、次年度へ繰り越し、有効に活用することとした。
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Research Products
(6 results)