2023 Fiscal Year Research-status Report
地域一般住民における心理社会的因子が慢性疼痛とQOLに及ぼす影響:久山町研究
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22K07421
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柴田 舞欧 九州大学, 医学研究院, 助教 (20734982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / 孤独感 / 疫学 / 愛着 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は40歳以上の地域一般住民に質問紙調査を行い、2439名分のデータを得た。2024年度も引き続き調査を実施し、目標である2700名を目指す。孤独感と慢性疼痛の関連について解析し以下の結果を得た。 【目的】福岡県久山町の地域住民を対象に、社会的接触の欠如に起因する社会的孤独感と情緒的愛着の不足に起因する情緒的孤独感を分けて、慢性疼痛の有無との関連を検討した。 【方法】2017~2018年に福岡県久山町で行われた住民健診を受診した40歳以上の地域一般住民3484名のうち、研究非同意者、慢性疼痛または孤独感の質問紙に回答していない者を除いた2696名を対象とした。6-Item De Jong Gierveld Loneliness Scaleを用いて社会的孤独感と情緒的孤独感の有無を評価した。慢性疼痛は、3ヶ月以上前からある痛みと定義した。統計解析にはロジスティック回帰分析を用いた。 【結果】対象集団における慢性疼痛の有症率は49%であった。社会的孤独感を有する群における慢性疼痛を有するオッズ比(性年齢調整後)は、有しない群に比べ、1.44(95%信頼区間 1.22-1.70)と有意に高かった。同様に、情緒的孤独感を有する群のオッズ比は1.51(1.27-1.80)と有意な上昇を認めた。また、社会的孤独感および情緒的孤独感を両方有する群のオッズ比(性年齢調整後)はどちらも有しない群に比べ1.94(1.51-2.48)と有意な上昇を認めた。これらの有意な関連は社会的孤立因子や抑うつ症状を含む多変量調整後も認められた(P<0.05)。 【結論】地域住民において、社会的孤独感および情緒的孤独感を有する人では、有しない人に比べ慢性疼痛を有するリスクが高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は当初の予定通り、地域住民を対象に住民健診を行い、タッチパネル式コンピューターを用いた心理質問紙検査を実施し、心理社会的因子および慢性疼痛を評価した。2439名のデータが得られたが、対象者数が目標に達しなかったため、2024年度も同様の調査を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、データ収集を11月まで継続し、12月よりデータベースを作成する。横断的解析および縦断的解析を実施し、学会発表や論文化を行う。研究成果を対象住民へフィードバックし、啓発活動を行う。
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Causes of Carryover |
学会発表を行ったが、現地開催からオンライン開催へ変更となったため、旅費が残った。物品を節約したため、物品費が残った。 次年度も調査を続行することとしたため、調査スタッフの人件費として使用予定である。
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