2022 Fiscal Year Research-status Report
大黄の修治による血流改善メカニズムの解明および漢方処方への応用
Project/Area Number |
22K07425
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
太田 美里 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 研究員 (00767121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 利明 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (80326561)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大黄 / 内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS) / 一酸化窒素(NO) / 血流改善 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大黄の修治による血流改善作用の向上を検証することを目的として、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を使ったin vitroでの血流改善作用の評価系を構築するための以下の実験を行った。 (1)再現性のある実験方法の検証:HUVECは細胞増殖速度や薬物に対する反応性に個体差があるのと同時に継代を続けることで再現性がとれないという問題があった。そこで、HUVECの株化細胞のHUEhT-1を使ったが、HUVECに比して増殖が遅く、大黄エキスに対する反応性も低かった。そのため、HUVECの同じ継代数のストックを大量に作成したところ、毎回、同じ条件で実験できるようになった。 (2)内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)発現量の評価系の構築:Western blot法では様々な修治品のサンプルを同時に評価できないため、96 well plateを用いたin cell-ELISA法およびWestern blot法を簡略化したドットブロットによる評価系を構築し、大黄添加で濃度依存的にeNOSの発現量が増加することを確認した。 (3)一酸化窒素(NO)産生量の評価系の構築:Griess法によるeNOS由来のNO産生量の検出感度を上げた評価系を構築し、大黄添加により濃度依存的にNO産生量が増加することを確認した。 実験系構築に時間を要したため、R4年度は修治品の検証にまでは至らなかったが、以上の実験系を用いた修治大黄の血流改善作用の評価、およびその活性本体の解明により、伝統医学的な瀉下から血流改善への作用変化の科学的エビデンスを得ることが可能となる。更には婦人科の漢方処方に適した血流改善作用が高い大黄の開発を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
HUVECを用いた論文は数多く存在するが、論文の再現性がとれず、一度ポジティブな結果が出ても培養条件や継代数が変わると再現性がとれなかったため、実験系構築に時間を要した。R4年度に行う予定だった大黄の各種修治品のin vitroでの血流改善作用の評価、血流改善活性成分および反応機構の解明は次年度に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
実験系が構築できたため、大学院生1人の協力を得て、順にデータをとっていく。また、活性成分探索も同時並行で行い、遅れている実験を進めていく。
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Causes of Carryover |
R4年度は細胞培養維持に関する消耗品のストックがあったが、次年度は新たに購入予定である。また、R4年度はin vitroの実験系の構築しかできず、各種分析およびin vivo実験の費用は次年度に回して、各種クロマトグラフィー試薬購入、実験動物購入飼育費として使用したい。
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