2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K07438
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福原 規子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (10534167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一迫 玲 東北大学, 大学病院, 教授 (30184625)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 濾胞性リンパ腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
濾胞性リンパ腫は低悪性度リンパ腫を代表する疾患単位であり、化学療法の感受性は高いが、再発を繰り返す難治性疾患の一つである。早期治療介入を行うことで予後が改善しないことから、腫瘍量に応じた治療方針がとられている。低腫瘍量濾胞性リンパ腫では、経過観察が標準治療とされているが、近年抗CD20モノクローナル抗体療法の有効性が報告されている。しかし、低腫瘍量群を対象とした予後因子が存在しないために、適切な治療介入基準が存在しない。我々は、濾胞性リンパ腫低腫瘍量の予後因子となりうるマーカーの抽出を目的として、発現解析を行い、予後と相関した遺伝子発現のうち、蛋白発現を評価した。宮城県の全県的悪性リンパ腫の登録事業(Miyagi Study)の参加施設にて診断・登録された低腫瘍量FLgrade1, 2, 3Aのうち、対象患者数の多い主要施設が本研究に参加した。診断後に無治療経過観察を選択された症例のうち、臨床データが利用可能かつ、解析に適切なFFPE検体が得られる症例を対象とした。FFPE検体からRNAを抽出し、nanostringデジタルカウント遺伝子発現解析を実施し、最終的に55人が解析対象となった。低腫瘍量群の治療目標は、化学療法介入までの期間を延長することであり、化学療法による有害事象を避け、長期間QOLを維持することが可能となる。本解析でも、予後因子として初回治療介入までの期間に関連する遺伝子をCoxモデルで抽出した。さらに、これらの遺伝子発現は実臨床で実施することは困難であるため、日常診療においてルーチンで実施される免疫組織染色に応用することで、利便性の高い予後因子を抽出することを目的とし、抽出された因子それぞれで免疫組織染色を検討したところ、抑制性Fcγ受容体であるFCGR2Bが予後予測マーカーであることが判明し、この結果について論文投稿を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画時点では、低腫瘍量FLを対象とした発現解析で抽出された予後因子であるFCGR2Bとエピゲノム遺伝子変異との解析を検討していた。主たるエピゲノム遺伝子変異であるEZH2遺伝子変異との解析を検討していたが、EZH2遺伝子変異は主に高腫瘍量FLに認められることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の予備的な解析ではEZH2遺伝子変異群は主に高腫瘍量群に認められる傾向があり、FLIPIなどの従来の予後因子との解析でも予後良好群では遺伝子変異の有無による予後の差は認めないが、FLIPI high risk群においては予後良好因子となりうることが示唆されている。これまでのところEZH2遺伝子変異陽性群はIgH-BCL2転座陽性例に高頻度であること以外に臨床病理学的特徴は明らかにされておらず、EZH2遺伝子変異陽性FLの臨床病理学的解析を行い、その特徴を明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
研究計画時点では、低腫瘍量濾胞性リンパ腫を対象とした発現解析で抽出された予後因子であるFCGR2Bとエピゲノム遺伝子であるEZH2遺伝子変異との統合解析を検討していたが、EZH2遺伝子変異は主に高腫瘍量FLに認められることが判明した。そのため、今年度はEZH2遺伝子陽性例の症例集積に尽力し、次年度にこの群に対するnCounterを用いた発現解析を行うこととしたため、発現解析費用を次年度に繰り越すこととなった。
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