2022 Fiscal Year Research-status Report
Exploring of the pathogenesis of intractable eosinophilic airway inflammation via eosinophilic exosome-derived miRNA
Project/Area Number |
22K07457
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
小林 良樹 関西医科大学, 医学部, 講師 (10375298)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 晃 関西医科大学, 医学部, 教授 (70375244)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 好酸球性エクソソーム / micro RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、活性化好酸球から放出されるエクソソーム由来のmicro RNA (miRNA)の抽出および網羅的遺伝子解析を行なった。ヒト気道上皮細胞株であるBEAS-2B細胞と末梢血分離好酸球の共培養を用いた系で検証した。健常人と難治性好酸球性気道疾患症例(喘息を合併している好酸球性副鼻腔炎)の末梢血から分離した好酸球をBEAS-2B細胞と共培養し、回収した培養上清に含まれるエクソソームの単離を専用のキットを用いて行なった。続いて、単離したエクソソームからRNA抽出を行い、エクソソーム内のmiRNAを次世代シーケンスを活用したsmall RNAシーケンスにて網羅的に同定・比較解析した。その結果、疾患群において有意に増加していたものの中で炎症に関与することで知られているmiRNA-432-5pが好酸球性気道炎症に関与する遺伝子の候補にあがった。 miRNAはタンパク質を作りださない短鎖(20-25塩基)のRNA(ノンコーディングRNA)で、自身と同じ配列をもつ遺伝子のメッセンジャーRNA(mRNA)に結合し、そのmRNAを分解したりタンパク質への翻訳を阻害したりすることでその遺伝子の発現を抑制する。そこで、miRNA-432-5pのターゲットとなる遺伝子をBioinfomaticsを活用して抽出した。具体的には、TargetScan、TarBase、miRDB、miRWalkなどのサイトを利用していくつかの遺伝子を選定した。 また、疾患群の活性化好酸球ではmiRNA-432-5pの発現が増加していること、疾患群の活性化好酸球と共培養したBEAS-2BでもmiRNA-432-5pの発現が増加していることがわかり、エクソソームを介したmiRNAの伝播の可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エクソソーム由来のmiRNAの抽出、網羅的解析、そして、疾患特異的miRNAのターゲットとなる候補遺伝子の抽出まで進んでいる。それらのmRNAレベル(定量PCR)および蛋白質レベル(Western-blotting法)を、喘息合併ECRS症例からサンプリングした気道上皮細胞(鼻ポリープあるいは鼻副鼻腔粘膜由来)にて評価するところまではできなかったが、次年度に予定していた好酸球と気道上皮細胞の共培養の実験系におけるmiRNAの伝播を検証する予備実験を先行して行なっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは、疾患特異的miRNAが制御することが示唆される遺伝子のmRNAレベル(定量PCR)および蛋白質レベル(Western-blotting法)を、喘息合併ECRS症例からサンプリングした気道上皮細胞(鼻ポリープあるいは鼻副鼻腔粘膜由来)あるいは分離好酸球と共培養したBEAS-2Bにて評価し、実際にその発現レベルが低下しているものを最終的な標的分子とする 標的miRNAのノックダウンモデルを作成して、その機能的役割を検証する。具体的には、ステロイド感受性やType2炎症性サイトカインやケモカインの産生を定量PCRやELISAを用いて評価を進めていく。
|
Causes of Carryover |
概ね計画通りに研究は進んでいるが、miRNAシーケンスまでのサンプル回収や外注であったこともあり解析結果の取得まで時間を要したため、候補遺伝子の確認に用いる予定であった試薬購入費用の一部が持ち越しとなった形である。 次年度は、主に候補遺伝子のプライマーや候補タンパク質の抗体、定量RNA解析や蛋白定量(Western blot)に関連する試薬、さらに候補遺伝子のノックダウンに用いる試薬やノックダウン後の機能解析に必要なELISAキットなどの購入を予定している。
|