2022 Fiscal Year Research-status Report
Recovery from refractory anxiety by reconstruction of neuronal networks
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22K07460
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
久保山 友晴 第一薬科大学, 薬学部, 准教授 (10415151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森永 紀 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (60465771)
當銘 一文 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (80563981)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不安症 / 生薬 / 軸索 |
Outline of Annual Research Achievements |
私は、難治性不安症を、脳内の神経回路網の破綻という器質的な障害による疾患であるという仮説を立てた。これまでの予備実験で、難治性不安症のモデルマウスを独自に開発し、本モデルマウスに生薬Xが有用であることを見い出してきた。本研究は、生薬Xの作用機序を解明し、本仮説を証明することを目的とした。本年度は、1) 本モデルマウスに既存の抗不安薬が無効なのか、2) 生薬X中の活性本体を同定すること、3) 生薬Xを経口投与した際に脳内で検出される化合物を同定すること、4) 活性本体の機能阻害抗体を作製の準備をすることを行った。また関連して、軸索伸長活性を示す生体内因子の探索を行った。 まず抗不安薬パロキセチンを本モデルマウスに投与した結果、抗不安作用を示さなかった。よって本モデルマウスは、既存の抗不安薬が無効な難治性不安症モデルマウスであると考えられた。初代培養神経細胞を用いて生薬X中の化合物およびその代謝物の軸索伸長活性を検討した結果、有意な軸索伸長活性を示す化合物Aを同定した。そこで生薬Xを経口投与したマウスの脳内から化合物Xが検出されるかどうか、LCMSによる分析を行ったが、化合物Aおよびその他生薬X由来の化合物を検出することはできなかった。化合物Aの抗体作製の準備として、過ヨウ素酸ナトリウムで処理された化合物AにBSAを反応させて、免疫原の化合物A-BSA複合体を調製した。また、軸索伸長活性を示す新たな生体内因子の同定に成功した。 以上本年度は、独自に開発した不安症モデルマウスに対して既存の抗不安薬が無効であることを明かにし、生薬X中の活性化合物候補を同定した。また、軸索伸長活性を示す生体内因子の同定にも成功した。さらに、活性化合物に対する抗体の作製準備を行った。残念ながら活性化合物の脳内での検出は成功していないが、おおむね本年度の研究目標を達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生薬Xをマウスに経口投与した際に脳内で検出される化合物の同定に取り組んだが、今年度内に成功する条件を見つけることができなかった。しかし他の目標は達成できており、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
生薬Xをマウスに経口投与した際に脳内で検出される化合物の同定を、条件を変えて引き続き試みる。また、生薬X中の化合物の定量分析も行う。また、生薬Xを不安症モデルマウスに投与した際の脳内で、本当に神経回路網の再構築が生じているのか、組織化学的解析を行う。抗体作製に関して、調製した免疫原のハプテン数をMALDI-tof-MS等で測定し、マウスへの免疫感作を行い、免疫されたマウスの抗体産生細胞とSP2/0骨髄腫細胞とを融合させて、化合物Aに対するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞の作成を目指す。将来的には本抗体が機能阻害性であることを証明し、生薬Xの作用が化合物Aを介したものであるのか、in vitroおよびin vivoで証明する。
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Causes of Carryover |
本年度、組織解析に用いる抗体を購入する予定だったが、購入しなかったため。
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