2023 Fiscal Year Research-status Report
フィトケミカル含有食品エゾウコギによる、新しいNAFLD/NASH治療法の開発
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22K07478
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河野 豊 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任准教授 (80398320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植原 治 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (00709248)
田中 真樹 北海道医療大学, 医療技術学部, 教授 (40207139)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 脂肪肝 / フィトケミカル / エゾウコギ / MASLD / MASH / HNF4 alpha |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、フィトケミカルであるエゾウコギ含有食品を脂肪肝モデルマウスに投与した際の病態改善に関わるメカニズムを分子学的手法により解明することにある。本年度は、前年度までの研究結果をもとに10週齢のC57BL6/J雄マウスに対して高脂肪食のみの固形飼料、あるいはエゾウコギ混合高脂肪食の固形飼料をそれぞれ6週間給餌して、その後血液および肝臓を採取した。前年度までの研究結果から、エゾウコギ混合高脂肪食摂取マウスにおける脂肪肝の改善効果が確認されていたことから、肝臓のRNAを抽出してRNA-Seqおよびパスウェイ解析によって、病態改善のメカニズムを探索した。高脂肪食摂取マウス肝臓とエゾウコギ混合高脂肪食摂取マウス肝臓の間で、59遺伝子が統計学的に有意な発現の変化を認めた(高脂肪食摂取マウス肝臓で高発現だったのは21遺伝子、エゾウコギ混合高脂肪食摂取マウス肝臓で高発現だったのは38遺伝子)。これらの遺伝子変化は「脂肪酸代謝」「コレステロール輸送」「腎細胞株のアポトーシス」「好中球の量」に関わる遺伝子群であった。さらにIngenuity pathway analysisによる上流解析により、肝の発生に関与する転写因子HNF4 alpha経路の活性化が同定された。HNF4 alphaの下流に位置する胆汁排泄に関わる分子(ABCG8)および脂肪酸代謝に関わる分子(CES2)は、ウエスタンブロッティングにより蛋白発現の上昇が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エゾウコギ混合高脂肪食摂取マウスにおける脂肪肝の改善効果の病態メカニズムについて、肝臓のRNA-Seqおよびパスウェイ解析によりHNF4 alpha経路の活性化が同定された。 メカニズムの一端が解析できたことから、おおむね順調な進捗と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
エゾウコギによるHNF4 alpha経路の活性化をin vitroで検証する。 腸内細菌の検討については未解析であることから、保存してある糞便検体で16Sメタゲノム解析および有機酸濃度測定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)本年度は当初RNA-Seqおよび16sメタゲノム解析両者を予定していたが、RNA-Seqの結果が先行して判明したこと及びこれらの検証を行ったことから、16sメタゲノム解析に必要な試薬類の予定購入を見合わせた。 (使用計画)現在16sメタゲノム解析に必要なマウス便の量は十分に採取し冷凍保存できていることから、次年度は予定している研究を行うための試薬の購入に使用する予定である。
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