2022 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化性疾患におけるHDL特異リン脂質引き抜き能の臨床的意義に関する検討
Project/Area Number |
22K07479
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
小谷 和彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (60335510)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | HDL引き抜き能 / HDL機能 / リポ蛋白代謝 / アポ蛋白 / リン脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
Byond low-density lipoprotein (LDL: 低比重リポ蛋白)の時代にあって、高比重リポ蛋白(high-density lipoprotein:HDL)の質的性状あるいは機能に関する検討が進みつつある。そのHDL機能の一つとして脂質引き抜き能は重要視される。我々は、HDLに特異的に親和するリン脂質に着目して、検体のHDLの脂質引き抜き能をex vivoで測定するアッセイ系を新しく考案した。今後、動脈硬化性疾患等に対して、このアッセイの臨床的意義を確立することが求められている。今年度は、動脈硬化発生の高リスク群である高コレステロール血症集団(42人、平均年齢=48歳、男性=32%、平均LDL-コレステロール=180 mg/dL)とその対照集団(138人、平均年齢=49歳、男性=80%、平均LDL-コレステロール=124 mg/dL)を設定して比較検討した。血清検体を用いたアッセイパフォーマンスは良好であった(変動係数=<5%)。対照集団と比べたところ、高コレステロール血症集団では、HDL-コレステロール値(平均59[対照] 対56 mg/dL)に有意な差は認められなかったが、特異リン脂質引き抜き能は低値であった(平均1.11[対照] 対0.89、p<0.01)。このことは、高コレステロール血症にはHDL機能不全が潜在する可能性を示す。本アッセイに基づくデータを蓄積し、脂質代謝マネジメントの新たな提案を目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アッセイパフォーマンスを含めて検討して取り組めている。
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Strategy for Future Research Activity |
対象者数を増やし、また疾患種も広げて、多面的に検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度中に0円になる予定だったが、年度末の物品購入を次年度に変更したため。
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