2023 Fiscal Year Research-status Report
COVID-19における赤血球結合抗体産生病態解明と細胞外小胞を応用した病態制御
Project/Area Number |
22K07485
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
三浦 康生 藤田医科大学, 医学部, 教授 (70605146)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高折 晃史 京都大学, 医学研究科, 教授 (20324626)
島津 裕 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (40706777)
藤井 紀恵 藤田医科大学, 医学部, 講師 (50834058)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | COVID-19 / 貧血 / 赤血球抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19(Coronavirus disease 2019)はSARS-CoV-2感染に続く宿主免疫反応が正常に作動することでその病態が制御される.COVID-19回復者血漿(COVID-19 convalescent plasma:CCP)には抗SARS-CoV-2抗体が含まれるが,CCP投与の治療効果はcontroversialである.このことは,COVID-19において正常の中和抗体以外に多様な抗体が産生され,それが予期せぬ免疫反応を引き起こしている可能性を示唆している.本研究課題では,COVID-19でみられる貧血に着目し,その病態に赤血球結合抗体の存在とその免疫学的な関与があるか検討する. COVID-19症例の約半数の症例で直接クームス試験が陽性で,陽性群は陰性群と比較してヘモグロビン値が有意に低かった.血液生化学検査ではC-リアクティブプロテインとD-ダイマーが有意に高く,免疫学的検査ではインターロイキン6が高い傾向にあった.電子顕微鏡を用いた形態の観察では赤血球の変形が認められた.以上の結果から,直接クームス試験陽性の症例では,炎症性病態と赤血球破壊が存在し、貧血の原因となっている可能性が示唆された.次に,COVID-19症例のHLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原)―DRアレルを解析した.得られた結果を日本人のHLA―DRアレル頻度と照合したところ,直接クームス試験陽性の症例ではHLA―DRB1*12:01とHLA―DRB1*12:02が有意なアレルとして同定された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設定した仮説の妥当性を支持する検証結果が得られた.
|
Strategy for Future Research Activity |
当該年度に得られたデータをもとに,HLA―DRB1*12:01とHLA―DRB1*12:02によって抗原提示されるSARS-CoV-2蛋白と赤血球膜タンパクに共通のペプチドの有無をIn Silicoで解析し,赤血球抗体産生の免疫学的病態の背景を明らかにする.
|
Causes of Carryover |
研究代表者の研究環境に変化があった.研究環境を最適化し事業を遂行する.
|