2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of a simple and rapid diagnostic method for using miRNA as a biomarker
Project/Area Number |
22K07486
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
井平 勝 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (10290165)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 哲史 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80288472)
東本 祐紀 藤田医科大学, 医療科学部, 講師 (20569701)
塩谷 泰子 藤田医科大学, 医療科学部, 助教 (90867590)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | miRNA / バイオマーカ / Iso-RAM / Isothermal amplification |
Outline of Annual Research Achievements |
Micro RNA (miRNA)は約20-25塩基の1本鎖RNAで疾患特異的なバイオマーカーとしての応用が報告されている。miRNAは、マイクロアレイ、Next generation sequencer (NGS)による網羅的解析データを基にしているが簡便な迅速検出法がないためいまだ臨床現場で有効利用されていないのが現状である。 初年度は、内在性コントロールを含む4種類の標的miRNAについてオリジナルIso-RAM測定法(Yao et.al. RNA 2009)の煩雑な工程と測定時間短縮を目標にした改良Iso-RAM反応条件設定を行った。 オリジナル法は、基本増幅単位である環状DNA構造作成の前処理とDNA増幅工程(Iso-RAM)の2段階からなる。前処理は、さらに逆転転写工程、リボヌクレアーゼ工程、Ligation工程からなり、作成環状DNAをRCA (Rolling circle amplification) を基本とする工程で増幅、最終的にIso-RAMは4工程からなる。改良Iso-RAMでは、逆転写後に標的miRNAを分解、ブリッジprimerの架橋を作るリボヌクレアーゼ工程を省略した。50-60℃で動的平衡状態にあるmiRNA由来のcDNA配列を含むRT-primerから環状基本構造を作製できると予測した。リボヌクレアーゼ工程を省略したIso-RAM産物をアガロース電気泳動、標的Bandをゲルから切り出しDNAを抽出、ダイレクトシーケンシングで基本構造がオリジナルIso-RAM反応による配列と同一であることを確認した。さらに工程簡略化を目指し逆転写、Ligation工程を同時におこうための至適反応条件を検討、オリジナル法が必要とした140分を90分に短縮、全4工程を2工程に短縮できた。この測定条件を用いて内在性コントロールを含む候補miRの基礎検討も行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
改良Iso-RAM法の標的miR-RNAとして4種類のmiRNAを選定した。内在性コントロールmiRNAとして使用するCel-39-3p、心不全の予後に関連するとされ発現亢進が指摘されているmiR-19b、心臓に最も多く存在するmiRNAの1つで虚血性心疾患における調節機能として血管新生、アポトーシス、線維化、肥大、炎症抑制が報告されているmiR-133a、虚血性心疾患の重症度と相関があり、重症度を推定するバイオマーカーとして機能する可能性が報告されているmiR-499を選択した。初年度は、これらのmiRNAについてIso-RAM測定系のprimer設計、反応条件設定を行った後、日差再現性(連続5日間)、同時再現性(4回)を行った。この検討には、人工的に合成したそれぞれの標的miRNA(ファスマック)107乗を血清にスパイクRNAを抽出後10倍段階希釈したRNAを用いた。 miR-19b、-499, -133aの日差再現性は、それぞれy=37.5log10x+2521.8 R2=0.9809, y=33.5log10x+2563.8 R2=0.9905, y=25.1log10x+1927.7 R2=0.9916でありいずれの標的miRNAの検出限界は300コピー/反応であることを確認すると同時にワイドな測定レンジと良好な直線性を確認した。この3種類と内在性コントロールCel-39-3pを含むの同時再現性についてもいずれのコントロール濃度CV%は約5%以内と優れた再現性が確認された。
|
Strategy for Future Research Activity |
候補miRNAの基礎検討については終了し測定が可能となったことから臨床検体を用いた初期検討を計画している。 冠動脈疾患に伴い経皮的冠動脈形成術(PCI)が行われるがこれに伴う周術期心筋障害/梗塞(PMI)も多く報告され注目されるようになった。また、PCIの効果や予後を判定するバイオマーカも乏しく今回の改良Iso-RAM基礎検討で確立した4種のmiRNAを標的としてPCI前、直後、術後1日のmiRの定量を行う。臨床検討の前にPCRをはじめとする核酸増幅においてヘモグロビンやヘパリンなどの荷電物質が反応阻害することが知られている。今回、対象とする心疾患を対象としたバイオマーカとして検討する場合、冠動脈形成術などでは抗凝固のためヘパリンが必須でありこれが改良IsoRAMに影響するかを検討する。冠動脈形成術に使用されるヘパリン濃度に調節した血液を遠心血清を分離し10の7乗Cel-39-3pをスパイクRNAを抽出する。このRNAを段階希釈してヘパリン未添加と比較する。ヘパリンの検討が終了後、同意の得られたPCI患者の術前、術直後、術後1日から採血し血清からRNAを抽出(Nucleospin miRNA plasma kit)、改良IsoRAM法によってmiR-19b、-499, -133aと内在性コントロールcel-39-3pを測定し定量する。比較としてmiRNA測定法としてゴールデンスタンダードとされ、多くのmiRNA研究で報告されているTaqman miRNA assayを利用し4種のmiRNAを定量、改良Iso-RAM法と比較する。また、PMIのマーカとしては高感度トロポニン、術前心臓エコー、冠動脈造影結果と標的miRNAの比較を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
2022年度計画は順調に進行し改良IsoRAM基礎検討のprimer再設計なども予定より少なく行うことができた。結果として当該年度計画金額の約5%と少額であるが次年度繰り越しとなった。
|