2022 Fiscal Year Research-status Report
筋炎特異抗体“陰性”筋炎の臨床・分子病理像解析と合併背景免疫の病態への関与の検討
Project/Area Number |
22K07506
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
清水 潤 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (40260492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 暁 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30771589)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 筋炎特異抗体 / 免疫介在性壊死性ミオパチー / 膠原病関連自己抗体 / 免疫組織化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のテーマである筋炎特異抗体“陰性”筋炎の病態の解明においては,「複数の背景免疫因子が存在すると臨床病理像はミックスされるか?」という点は,解決すべき疑問である.そこで,2022年度は,免疫介在性壊死性ミオパチー(IMNM)に筋炎特異抗体“陰性”筋炎に出現する膠原病関連自己抗体が合併した場合に,筋病理像に変化が及ぶかを検討した.IMNM連続40例(抗SRP抗体陽性20例,抗HMGCR抗体陽性20例,男性22例,女性18例.平均年齢62歳)を対象とした.合併自己抗体の有無はコマーシャルキットで評価した.病理所見は半定量的指標を用い,HE染色で炎症像,壊死再生像の程度を,免疫組織学的変化は各種免疫染色をおこなった上で染色性を評価した. 17例(42.5%)で合併抗体[SS-A (9), RF (6), AMA-M2 (3), CCP (2), Ku(2), Ro-52(2), Mi2(1), RNP(1), SS-B(1), AChR(1), 重複あり]を認めた.合併抗体の有無で,炎症細胞浸潤の程度,壊死再生線維の頻度には有意差はなかった.一方,免疫組織化学ではMxAの筋線維上の発現は両群で陰性,MHC-classⅡの非壊死筋線維上の発現頻度には有意差はなかったが,合併抗体群においてMHC-classⅠの発現がより広範(筋線維の50%以上)である症例の頻度が高く(p<0.05),MxAの小血管の発現は合併抗体群で有意に高頻度であった(合併抗体群9/17(53%) v.s. 非合併群1/23(4%,p<0.001).以上よりIMNMでは半数近くの症例で,筋炎特異抗体“陰性”筋炎でも認める合併抗体が併存していること,IMNMの筋病理像が合併抗体の存在により影響をうけることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋炎特異抗体陽性筋炎患者には,さまざまなる膠原病関連自己抗体が合併しうる.2022年の研究結果である「複数の背景免疫因子が存在すると臨床病理像はミックスされる」という知見は,筋炎の患者さんにオーダーメイド医療を進める上で大事な知見となる.本結果について,学会発表を行ったうえで論文化の準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の検討より,複数の背景免疫因子が存在すると臨床病理像はミックスされることが,明らかになった.このことより,筋炎特異抗体“陰性”筋炎の病態解明においては,合併背景因子を網羅的に検討する必要があることが示唆された.2023年度は,筋炎特異抗体“陰性”筋炎の一群をなす“強皮症に関連する筋炎”の臨床病理像解析をすすめる.現在,連続症例の臨床像,自己抗体を確認し,病理像との関連解析に着手している.
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Causes of Carryover |
免疫組織化学に用いる抗体の納期が遅れ2023年度の納入になったため次年度使用額が生じた。2023年度は、2022年の予算残額と2023年度の予算額をあわせ、強皮症に関連する筋炎の検討を行なう。強皮症の筋組織における虚血因子の作用の解明のために、免疫染色用の抗体を購入し組織を用いた免疫染色おこなう。また、対応症例の保存血清での自己抗体検索をELISAキットを購入し、または外注依頼にて測定する。検討結果により、効率よく予算を使用していく。
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