2023 Fiscal Year Research-status Report
APOE遺伝子多型に着目した外傷性脳損傷によるアルツハイマー病発症機構の解明
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22K07549
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
鈴木 一詩 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 准教授 (30529053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川内 聡子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 生体情報・治療システム研究部門, 准教授 (20506505)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / APOE / 外傷性脳損傷 / アミロイドβ / タウ |
Outline of Annual Research Achievements |
C57BL/6Jマウス(野生型)脳にレーザー誘起衝撃波(laser-induced shock wave: LISW)を当て、AD発症の有無を検討している。血液脳関門(blood-brain barrier: BBB)の破綻はAD関連病態(アミロイドβ蓄積や神経変性等)に先行すると考えられるため、LISWによるBBBの破綻の有無をEvans blue色素腹腔内注入により検証した。具体的には、右側脳(実験群)にLISWを適用し、左側脳(対照群)は無処置で観察した。2日目にEvans blueを投与し、その2日目にマウスを灌流固定。LISW適用部の脳片を顕微鏡で観察した結果、左側脳と比較して、脳表や脳室周囲に顕著なEvans blueの漏出を認めた。同脳片の蛍光免疫染色を実施した結果、右側脳海馬における抗GFAP抗体で強染される細胞(アストロサイト)が目立ち、また、当該細胞の集簇が観察された。更に、BBBを構成するアストロサイトの剥離、弱染が見られ、これらは、LISW によるBBBの破綻、AD発症の前に生じる神経性炎症の端緒となる反応性アストロサイトの発生を示唆すると考えられた。LISWはBBB破綻を誘発し、且つ、AD発症の前に生じる神経性炎症の端緒となる反応性アストロサイトの発生も誘発する。いずれもAD発症に絡むものであり、LISWによる脳の物理的障害はAD発症の危険因子とみなされる。臨床データの解析では、DOD-ADNI研究のデータを引き続き解析中である。APOE遺伝型の情報がある274例の内、ε4アレルの保持率は正常群85例で27.1%, PTSD群112例で23%, TBI群54例で32.5%, PTSDとTBIの合併群118例で25%と、TBI群でε4アレルの保持率が高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
外傷性脳損傷、特に爆傷モデルとして再現性、安全性に優れるLISWが使用可能となり実験を進行している。LISWによる衝撃波の脳への影響は、肉眼的な出血が確認されない強度でも、脳内に何らかの細胞変化(BBB構成細胞の変化、反応性アストロサイトの誘発など)を誘発する、という我々の本来の視点については、今年度一定の成果が得られた。また、当初より使用予定であったWeight -dropモデルも使用可能となった。またヒトAPOE/APP double transgenic mouseも入手し使用可能な状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
LISWの現在の刺激条件における脳内変化の再現性を引き続きC57BL/6マウスで確認すると共に、本系をAPOE knock-inマウス(APOEε3及びε4)に適用し、「APOEε4マウスではBBB脆弱性が高い。そのために、AD発症率が高い」という仮説を検証する。また、様々なマーカー抗体を用い、LISW処理による脳構成細胞の動態を検索、AD発症との関連を更に追究する。 臨床データの解析では、精神症状、うつ傾向、神経学的な機能予後、内科合併症などのデータ項目につきAPOE遺伝型による層別化解析を行い、APOEε4アレル保持がTBIの神経学的、認知機能的予後に与える影響について広く解析を進めていく。特に対象者本人とその家族に認知機能障害に関する同じ内容のアンケートを行うEcog(The Measurement of Everyday Cognition)の結果に着目し疾患認識とAPOEの関連についても解析する。
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Causes of Carryover |
ダブルトランスジェニック動物を購入ではなく共同研究先より譲り受けたことで動物購入に関する費用が大幅に削減された。また実験機器も共用機器を用いることで経費削減された。今後は動物実験を拡大し前年度までに使用予定であった経費を支出の予定である。
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Research Products
(6 results)