2022 Fiscal Year Research-status Report
母体の不十分な妊娠中体重増加量(GWG)と児の神経発達予後の関連
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22K07557
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中安 智香子 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任研究員 (60725175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 賢治 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (20362189)
西村 倫子 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任講師 (30773791)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 胎児発育 / 神経発達 / 成熟遅延 / 神経発達症 / 自閉スペクトラム症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は,本申請案では,浜松母と子の出生コホート研究(HBC Study)を利用して,1)母体の低GWG(母体の不十分な体重増加,Low gestational weight gain)が児の自閉スペクトラム症(ASD)リスクを高めるか,2)母体の低GWGが神経学的成熟遅延をもたらし,ASDのリスクを媒介するか,3)母体の低GWGが臍帯血レプチン濃度低下をもたらし,ASDのリスクを媒介するか,の3点の解明を通して,低GWGの小児神経学的予後とその生物学的メカニズムを明らかにすることを目指している。今年度は1)2)3)の解析のためのデータの収集と統合,および予備解析を行った。 HBC Study参加者のうち,1)GWG計測,臍帯血レプチンの計測を完了,2)2,3歳における神経発達の計測および6,8歳における自閉スペクトラム症(ASD)に関する評価を完了,3)単胎である,の3つの条件に合致する対象者を抽出し,解析対象者として,データクリーニングを行った。GWGは,分娩当日の体重から妊娠直前の体重(いわゆる非妊時体重)を引いたものと定義した。ASDの評価には,①6歳におけるASDの診断評価般構造化面接ADOSを用いて計測したキャリブレーションスコア(CSS),②8歳におけるASDの症状評価尺度SRS-2を用いて計測したASDスコアを用いた。神経発達の指標には,生後2,3歳において小児コンポジットスケールであるMullen Scales of Early Learningを用いて計測したコンポジットスコアを用いた。レプチンは,臍帯血血清を用い,外部委託により計測した。 予備的解析では,GWG→ASD,GWG→神経学的成熟遅延,GWG→臍帯血レプチンの3つの回帰分析を共変量を投入して行い,GWGと臍帯血レプチンに正の関連があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集,クリーニング,解析計画の立案と予備的解析について,すべて当初の予定通りに実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,予備的解析の結果を踏まえた媒介分析を行い,GWGとASDの関連があるか否か,あるならばそれを説明する媒介因子候補(神経学的成熟遅延,レプチン制御不全)がどのようにGWGとASDとの関連を説明するかについてデータと文献から考察を進め,論文化を行う。
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Causes of Carryover |
データ収集が順調に進み,補助人員を雇用するための人件費がほとんど必要なくなった。一方、当初予定になかったHBC Studyの被験者への結果フィードバックとデータの管理のための諸経費(ニュースレター作成のための事務費,クラウド管理のための経費)を計上し,次年度も同様に計上をする予定である。すなわち,この予算が次年度使用額に充当される見込みである。
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