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2022 Fiscal Year Research-status Report

Development of Alzheimer disease biomarker

Research Project

Project/Area Number 22K07559
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

田上 真次  大阪大学, キャンパスライフ健康支援・相談センター, 特任教授 (40362735)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 吉山 顕次  大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (20426498)
森 康治  大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (40775318)
池田 学  大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60284395)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsアルツハイマー病 / アルツハイマー病バイオマーカー / アミロイドβ42 / APL1β / プレセニリン / γセクレターゼ / タウ蛋白
Outline of Annual Research Achievements

アルツハイマー病(AD)バイオマーカーとして血液中のAβ42の低下が世界的に注目されている。しかし脳に蓄積し絶対量が増加するAβ42がなぜAD患者の血液や脳脊髄液(CSF)中では低下するか不明確であり、血液やCSFでのAβ42の低下が超早期の病態を正確に反映しているとは言い難い。AβはβAPPがBACEとγセクレターゼによる2段階切断を受けて産生される。我々はこの反応はβAPPに限った特異的なものではなく普遍的なものであると類推していた。そしてβAPPファミリー蛋白の一つであるAPLP1がBACEとγセクレターゼによる2段階切断を受けてAPL1βが産生されることを発見した。APL1β分子種のうちAPLβ28産生とAβ42産生との間には正の相関がある。APLβ28はAβ42とは異なり、凝集を起こさない。従って、APLβ28はAβ42を上回る病態診断力を持つ可能性が高い。
本年度はCSFバイオマーカ―でAD病理が脳内にあると推定される症例(Aβ42比率減少、タウ蛋白増加、n=~50例)中のAβ42,Aβ40,タウ蛋白、APL1β25,27,28各分子種の定量をELISA法またはLCMS/MSを用いて測定した。重要なことにAD患者CSF中APL1β28と神経変性を反映するタウ蛋白との間に正の相関がある可能性を見出した(R2= 0.1839)。一方で同一サンプル中のAβ42とタウ蛋白の間には逆相関の関係にあり(R2=0.3322)、既知のデータと比べて大きな逸脱がないと考えられた。この結果からAD脳内においてAβ42比率の上昇はタウ蛋白量の増加と関連している可能性が示唆された。
さらに基礎研究においても進展があった。βAPPファミリー蛋白であるAPLP2がBACEとγセクレターゼによる切断を受けてAβ様ぺプチド、APL2βが産生されることを発見し論文発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

現在、AD脳内に蓄積しているAβ42を標的として治験が行われているが、少なくとも劇的な改善効果は認められていない。その理由として、いったん蓄積したAβを抗体療法で取り除いたり、Aβ産生を酵素阻害剤で減らしたところで神経細胞は既に障害されており、十分に回復させることができない可能性があげられている。よって次世代の治験はAβ42が脳内に蓄積し、神経細胞を障害し始める前に予防的介入を行うことでADの発症を遅らせる流れになると予想する。これを実現化するには脳内Aβ42産生の上昇と神経細胞の障害をより早期に捉えられるバイオマーカー開発が必要である。
今回得られた結果から、AD脳内においてAβ42産生比が上がることでタウ蛋白の増加を促進する可能性が示唆された。まずはCSFバイオマーカーでAD病理が脳内にあると推定されるサンプルで(Aβ42とタウ蛋白の間には逆相関の関係にある(R2=0.3322))、APL1β28とタウ蛋白の間に正の相関がある可能性が示唆されたことは今後の研究の進展において重要なステップであると考える。平行して、研究室が保有する他のCSFサンプル中のADのCSFバイオマーカーの測定も進め、Aβ42比率低下なし、タウ蛋白増加なし(脳内にAβ42蓄積もタウ蛋白増加もない、つまりAD病理がない状態)、Aβ42比率低下あり、タウ蛋白増加なし(脳内にAβ42蓄積はすでにあるがタウ蛋白の増加はない、つまりプレクリニカルAD病態とみなせる)の症例に分類する準備を行った。

Strategy for Future Research Activity

もし脳内にAβ42蓄積はすでにあるがタウ蛋白の増加はない、つまりプレクリニカルADの段階やさらに遡って脳内AD病変が形成される前(脳内にAβ42蓄積もタウ蛋白増加もない)からAPL1β28とタウとの相関があることが確実であれば、これはまさにCSF APL1β28バイオマーカーが脳内Aβ42産生の上昇と神経細胞の障害を超早期に捉えることができる可能性を示唆する。つまりこの新規バイオマーカーを用いることにより、ADを超早期に診断できることができるかもしれない。
令和5年度には、まずAβ42比率低下なし、タウ蛋白増加なし群(脳内にAβ42蓄積もタウ蛋白増加もない、つまりAD病理がない状態)とAβ42比率低下あり、タウ蛋白増加なし群(プレクリニカルAD群)中のAPLβ分子種の測定を行う。タウ蛋白とMMSEやADAS-J.cogなどの認知機能テストのスコアは負の相関があると予想される。APLβ28比がこれら認知機能テストのスコアと正の相関があるかどうか、ADとMCIで検討する。その他頭部MRIやSPECTなど画像データとも何らかの関連性があるかどうか検討する。
令和6年度には、精神医学教室・神経心理グループが有する臨床データベース上で臨床経過を追跡することが可能な症例について、画像診断結果や認知機能検査結果をもとにして、CSF検体採取時より3―13年を経過した後に臨床的にADやADによるMCIを発症したかどうかを検証する。

Causes of Carryover

本年度は研究開始初年度であり、実績とデータの蓄積に主体をおいており、論文および学会発表で広く成果を公表する段階ではなかったことによる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] APLP2 is predominantly cleaved by β-secretase and γ-secretase in the human brain2023

    • Author(s)
      Yanagida K, Maruyama R, Tagami S, Kudo T, Okochi M, Fukumori A.
    • Journal Title

      Psychogeriatrics

      Volume: 23 Pages: 311-318

    • DOI

      10.1111/psyg.12933.

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2023-12-25  

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