2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K07570
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
貞廣 良一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (70571644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 弘道 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 科長 (20425078)
青木 一教 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (60270675)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 術後せん妄 / 二重盲検化比較試験付随研究 / 免疫制御 / 高侵襲手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
手術侵襲に起因して発症する術後せん妄は、医療における重要課題であり、超高齢社会に呼応し適応が拡大する高齢者の手術成績や、Quality of Life(QOL)の維持に深刻な影響を及ぼしている。またせん妄が脆弱性を示すサインではなく、認知機能低下の原因となる可能性が示され、重要性が高まっている。しかしせん妄発症の機序はほとんど分かっておらず、従って確立した予防法がないため、新規予防法開発が切望されている。国内外で免疫学的な機序に関心が集まり、末梢血の遺伝子制御解析などから発症機序の探索が始まっているが、末梢血全体の解析にとどまっており、創薬の標的となる「免疫細胞」および「免疫制御機構」を特定できていない。 本研究は、Th17・Tregを介する過剰な免疫応答が術後せん妄を惹起すると仮説を立て、術後せん妄予防を目的とした二重盲検化比較試験の情報と試料を活用することで、術後せん妄発症を制御する免疫ランドスケープを解明し、発症機序に基づく術後せん妄予防法開発を進める。 令和4年度は令和4年4月より二重盲検化比較試験を開始し、同時に付随研究として本研究を開始し、国立がん研究センター中央病院にて血液検体を保存した。10月には遺伝子発現解析、メタボローム解析、免疫学的解析に着手した。また令和5年2月には国立がん研究センター東病院での血液検体の保存を開始した。順調に検体保存を進めており、令和4年度は6時間以上の高侵襲手術を予定された65歳以上の103症例から前向きに血液検体を保存した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り二重盲検化比較試験を開始し、その付随研究として順調に検体集積を実施出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
二重盲検化比較試験の付随研究として血液検体の保存を継続し、蓄積した検体を用いて免疫学的解析を実施する。 課題として、予定していたフローサイトメトリーのパネルで用いる抗体が終売となってしまい、新規パネルを分担研究者の青木一教先生と検討している。
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Causes of Carryover |
令和4年度は他の研究費で血液検体の保存に要する人件費と物品費を支出出来たため、当該研究費は次年度に持ち越し、免疫学的解析に集約して使用する計画とした。
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