2023 Fiscal Year Research-status Report
双極性障害エピゲノムマーカーと薬剤反応性についての検討
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22K07580
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
菅原 裕子 福岡大学, 医学部, 講師 (90610692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田上 真次 大阪大学, キャンパスライフ健康支援・相談センター, 特任教授 (40362735)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 5-mC / 5-hmC / 5-fC / 大脳基底核 |
Outline of Annual Research Achievements |
双極性障害の病態には遺伝環境相互作用の関与が示唆されており、脳内のエピジェネティックな変化が双極性障害の発症に寄与する可能性がある。 シトシンの修飾はメチル化(5-mC)以外にヒドロキシメチル化(5-hmC)やホルミルシトシン化(5-fC)などが存在することが知られており、これらは脳内の能動的な脱メチル化機構に関連することが示唆されている。哺乳類においてhmC含有量は脳領域間で異なり、双極性障害、統合失調症、アルツハイマー病などの神経精神疾患では全シトシン修飾の割合の差異が報告されていることから、様々な脳領域におけるシトシン修飾を定量化することは、神経精神疾患の遺伝子発現制御と病態生理学を検討するために重要である。 今回、成体マウスの3段階の発達期において5つの脳領域と心臓の5-mC、5-hmCおよび5-fCレベルを定量しました。 シトシン修飾には顕著な脳領域間差異が存在し、その領域間差異は発達期間中維持されていたとこから、エピジェネティックな制御は各脳領域に固有であり、年齢とともに比較的安定したままであることが示唆された。 また、5-mCと5-hmCレベルには正の相関関係が認められたが、相関関係の程度は脳の領域によって異なっていた。逆に、5-fCレベルは5-mCまたは5-hmCレベルとの相関は認められなかった。さらに、大脳基底核における5-fCレベルは加齢とともに減少しており、特有のエピジェネティックな制御機構が存在することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属変更に伴い、研究体制の整備・再構築を必要とするため
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Strategy for Future Research Activity |
うつ病と双極性障害が混在する抑うつエピソード患者において、混合性の特徴を補完する臨床的特徴を抽出し、双極性障害エピゲノムマーカーを併用することで、適切な薬剤選択法の確立を試みる。
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Causes of Carryover |
研究者の所属変更に伴い、当初予定していた被検者リクルート、研究打ち合わせや情報収集が実施できなかったため、消耗品の購入や出張費が発症せず、次年度使用が生じた。次年度以降は被検者リクルートならびに研究打ち合わせや情報収集を実施予定のため、その費用に充当したいと考えている。
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