2022 Fiscal Year Research-status Report
頬粘膜を用いた自閉スペクトラム症の生物学的指標の検証および早期診断システムの開発
Project/Area Number |
22K07581
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
堀内 史枝 愛媛大学, 児童精神医学講座, 教授 (50363247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 祐太 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (10646243)
河邉 憲太郎 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (90457375)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 診断マーカー / miR-15b-5p |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、遺伝率が高いことが知られている神経発達症である。ASDの診断は、臨床症状の異質性が高いため困難である。マイクロRNA(miRNA)はASDの診断用バイオマーカーとなる可能性があり、いくつかの研究でmiRNAとASDの病態の関係が示されている。我々は、ASDの診断バイオマーカーを探索するため、末梢血中の10種類のmiRNAと標的遺伝子のmRNA発現量を調査した。qPCRを用いて、SYBR green法およびプローブ法を用いて、それぞれmiRNAおよびmRNAの発現を測定した。miRNAの標的遺伝子の同定には、インシリコ予測を使用した。HEK293細胞を用いたin vitro実験により、miR-15b-5pが予測された標的遺伝子(TGFBR3およびMYBL1)を修飾するかどうかを調査した。その結果、miR-15b-5pの発現は、発見コホートでは増加傾向を示し(p = 0.052)、複製コホートでは有意に増加した(p = 0.021)。インシリコ解析により、miR-15b-5pは細胞発生とWntシグナルに関連していることが明らかになった。TGFBR3およびMYBLの発現量の減少傾向は、これまでのRNA-seqデータと同様であった。miR-15b-5pはin vitroの実験でTGFBR3の発現をポジティブに制御していた。miR-15b-5pの発現量の増加は、ASD被験者の有用な診断マーカーとなる可能性があり、TGFBR3のmRNA発現を調節する可能性がある。これらの知見は、ASDの病態の理解において新たな視点を示すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抹消血で確認できた現象を、頬粘膜で実験したが、不純物が多く納得のいく結果は得られなかった。そこで、頬粘膜ではなく、末梢血を用いたバイオマーカー研究に切り替えた。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は自閉スペクトラム症者にアレルギー反応が多いことに着目し、機能的異常の有無を明らかにすることを目的とした。抹消血よりPBMC(Peripheral Blood Mononuclear Cells:単核細胞)を採取し、フローサイトメトリーにかけて単核細胞、特にNK cellの分布に差が出ないか調査する予定である。ASD群とControl群とでdefective NK cellの実際の機能に違いはないかを確認する目的である。また、フローサイトメトリーでdefective NK cellだけを抽出して、遺伝子情報を確認することで機能に差がないか調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度内に発注が間に合わなかった物品を購入予定
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Research Products
(1 results)