2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the pathophysiology of schizophrenia / autism spectrum disorder using EP400 gene transgenic mice
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22K07582
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
今村 明 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (40325642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉浦 孝一郎 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (00304931)
岩永 竜一郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (40305389)
小澤 寛樹 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (50260766)
森本 芳郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (70816686)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 自閉スペクトラム症 / 遺伝的オーバーラップ / 神経発達症 / 家系研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、遺伝子解析技術の進歩により多数の精神疾患の遺伝的オーバーラップが示唆されている。2021年、我々の研究グループは統合失調症多発大家系の遺伝子解析を行い、EP400遺伝子の稀少変異が統合失調症のリスクとなることを世界に先駆け国際誌に報告した。一方で、EP400遺伝子は自閉スペクトラム症の候補遺伝子とする報告も出始めている。本研究ではEP400遺伝子稀少変異の病因メカニズムを明らかにし、統合失調症と自閉スペクトラム症に共通する病態の解明を目指す。 本年度の実績(1)EP400遺伝子稀少変異保有患者の臨床症状評価:我々は、これまでの研究において、統合失調症罹患者群からの288検体のうち21検体(7.37%)、非罹患者群からの445検体のうち14検体(3.15%)がEP400遺伝子の稀少変異を保有していることを報告している(Morimoto et al. 2021)。このようなEP400遺伝子希少変異を保有した患者に対して、統合失調症に関連した症状評価と自閉スペクトラム症に特化した詳細な臨床評価を行った。①統合失調症関連:PANSS、統合失調症患者の臨床経過(発症前の状態、発症時期、症状経過、内服状況、治療効果、薬剤反応性、併存疾患、遺伝的素因の有無等)、②自閉スペクトラム症関連:DISCO、ADI-R、CARS。今年度はまず統合失調症多発大家系に所属し、EP400遺伝子のミスセンス変異を持つ7名の罹患者と、同家系に所属して、遺伝子検査が未実施であるが自閉スペクトラム症の特徴が疑われる3名の罹患者の臨床評価を行った。結果として、ミスセンス変異を持つ7名のうち2名、それ以外の3名のうち1名が、DSM-5で自閉スペクトラム症と診断できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19パンデミックの影響により、電話再診が増加し、実際に来院する外来患者数が著しく減少した。また患者家族会なども、集会を見送るケースが増えた。このようなこともあり予想よりもサンプルの収集が遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.今後、EP400遺伝子稀少変異保有患者の臨床症状評価を、統合失調症の側からと自閉スペクトラム症の側から同時に進めていく。そのために積極的にサンプル収集を行う。 2.Ep400:p.P2715L変異の病原メカニズムの解明:EP400はヒストンアセチルトランスフェラーゼ複合体のコアタンパク質であり、その機能異常は多数の遺伝子の転写異常を引き起こすと予想される。EP400遺伝子の病原性変異を導入されたマウスBrainと、野生型のマウスBrainのエピゲノム/トランスクリプトーム解析を行い、変異により影響を受けるゲノム領域や遺伝子をリストアップし、それらの領域に関してコンピュータープログラムを用いて意味付けを行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19パンデミックのため、サンプルの収集が進まなかった。来年度は関係機関と連携して、サンプルの収集を進める予定である。使用計画としてサンプル収集に必要な旅費、謝金等に充てる予定である。
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