2022 Fiscal Year Research-status Report
稀なゲノム変異に着目した統合失調症脳組織表現型の神経病理解析
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22K07595
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鳥居 洋太 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90754945)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 神経病理 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに稀なゲノム変異を伴う統合失調症死後脳を複数同定しているが、新規症例を増やすため、関連施設において統合失調症を含む精神神経疾患の剖検を継続し、新たに32例の死後脳の蓄積を行った。また、死後脳の臨床情報(発症年齢、罹病期間、臨床症状、臨床経過、薬剤、身体併存疾患、病前の社会適応、家族歴、神経画像など)の収集、蓄積に加え、加齢性変化を中心とした一般神経病理学的評価を15例において行い、これらの情報、所見を以降の解析のためにデータベース化した。得られた死後脳のゲノム解析も継続して行い、稀なゲノム変異を伴う統合失調症死後脳の同定を推し進めた。 今年度は特に、稀なゲノム変異を伴う統合失調症をはじめとした精神神経疾患死後脳において、アルツハイマー病理などの一般神経病理学的所見と肉眼的な脳形態変化との関連の検討を中心に行った。X染色体に大規模な重複を認める統合失調症、MBD5欠失を伴う統合失調症、DMD欠失を伴う統合失調症などの稀なゲノム変異を伴う統合失調症死後脳において、海馬を含む側頭葉及び前頭葉に特に着目して神経病理学的観察を行い、側脳室の拡大や前頭葉、側頭葉皮質の形態変化を疑う所見(皮質の菲薄化やPatch状の変化など)を認めた。これらの形態学的な変化はアルツハイマー病理など既知の神経変性疾患の病理では説明することが困難であり、統合失調症の病態に関連した変化である可能性が示唆されたが、その特異性に関しては、今後更なる検討を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度も引き続き例数を増やすために死後脳の収集・蓄積を行うことは目標の一つであったが、2022年は関連施設において、32例の死後脳の収集・蓄積を行うことができた。さらに、これらの症例に関して、順次、生前の臨床診断、臨床経過、病前の社会適応、家族歴、神経画像等の臨床情報の収集及び一般神経病理所見の検討を行い、得られた死後脳のゲノム解析も継続して行った。 X染色体に大規模な重複を認める統合失調症、MBD5欠失を伴う統合失調症、DMD欠失を伴う統合失調症などの稀なゲノム変異を伴う統合失調症死後脳において、今後検討すべき、形態変化を確認し、一定の推論を得ることができた。これらのことから、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、検討を中心的に行ったX染色体に大規模な重複を認める統合失調症、MBD5欠失を伴う統合失調症、DMD欠失を伴う統合失調症に加え、22q1.2欠失を伴う統合失調症やGLO1フレームシフトを伴う統合失調症などの稀なゲノム変異を伴う統合失調症について、今年度得られた脳の形態変化に加え、認知機能を含む臨床症状に着目して、免疫組織学的な検討を行い、その背景病態を明確化する
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Causes of Carryover |
当初予定していた免疫組織学的染色の一部を機器の故障により実施できず、次年度未使用額が生じた。未使用額は次年度の免疫組織学的染色に使用予定である。
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Research Products
(23 results)
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[Journal Article] Cross-Disorder Analysis of Genic and Regulatory Copy Number Variations in Bipolar Disorder, Schizophrenia, and Autism Spectrum Disorder2022
Author(s)
Itaru Kushima, Masahiro Nakatochi, Branko Aleksic, Takashi Okada, Hiroki Kimura, Hidekazu Kato, Mako Morikawa, Toshiya Inada, Kanako Ishizuka, Youta Torii,・・・, Norio Ozaki
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Journal Title
Biological Psychiatry
Volume: 92
Pages: 362~374
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] エネルギー器官としての脳 組織構造と統合失調症2022
Author(s)
糸川 昌成, 大島 健一, 鳥海 和也, 吉川 茜, 堀内 泰江, 宮下 光弘, 宮野 康寛, 石田 裕昭, 小堀 晶子, 井上 智子, 新井 誠, 鳥居 洋太, 久島 周, 入谷 修司, 尾崎 紀夫, 鈴木 芳生, 野口 千太, 雑賀 里乃, 水谷 隆太
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Journal Title
精神神経学雑誌
Volume: 124
Pages: 688-699
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[Presentation] 統合失調症における神経変性疾患病理所見と認知機能障害との関係2022
Author(s)
荒深周生, 鳥居洋太, 入谷修司, 藤城弘樹, 平野光彬, 関口裕孝, 三輪綾子, 羽渕知可子, 吉田眞理, 岩崎靖, 尾崎紀夫
Organizer
第63回神経病理学会総会
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[Presentation] 純粋なArgyrophilic Grain Disease (AGD)の臨床病理学的な検討 ―名古屋大学精神科コンソーシアムブレインバンクでの128剖検例から―2022
Author(s)
竹田和弘, 藤城弘樹, 荒深周生, 鳥居洋太, 関口裕孝, 三輪綾子, 羽渕知可子, 吉田眞理, 岩崎靖, 入谷修司, 尾崎紀夫
Organizer
第63回神経病理学会総会
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[Presentation] 純粋Primary age-related tauopathy (PART)の臨床病理学的な検討 ―名古屋大学精神科コンソーシアムブレインバンクでの128剖検例から―2022
Author(s)
竹田和弘, 藤城弘樹, 荒深周生, 鳥居洋太, 関口裕孝, 三輪綾子, 羽渕知可子, 吉田眞理, 岩崎靖, 入谷修司, 尾崎紀夫
Organizer
第63回神経病理学会総会
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[Presentation] 50歳代に被害的な幻聴・妄想が出現し70歳代で剖検に至った、遅発性統合失調症の一例2022
Author(s)
竹田和弘, 藤城弘樹, 鳥居洋太, 三輪綾子, 関口裕孝, 羽渕知可子, 宮原弘明, 吉田眞理, 岩崎靖, 入谷修司, 川島邦裕
Organizer
第58回名古屋臨床神経病理アカデミー(日本神経病理学会名古屋地方会)
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[Presentation] 長期入院を余儀なくされた,視覚・聴覚障害を有した遅発パラフレニーの一剖検例2022
Author(s)
三輪 綾子, 鳥居 洋太, 関口 裕孝, 羽渕 知可子, 藤城 弘樹, 宮原 弘明, 岩崎 靖, 吉田 眞理, 川島 邦裕, 入谷 修司
Organizer
第41回日本認知症学会学術集会/第37回日本老年精神医学会[合同開催]
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[Presentation] 晩年に認知症症状を呈したcingulectomy施行後統合失調症の一剖検例2022
Author(s)
鳥居 洋太, 荒深 周生, 三輪 綾子, 関口 裕孝, 羽渕 知可子, 藤城 弘樹, 古泉 龍一, 吉田 眞理, 岩崎 靖, 尾崎 紀夫, 入谷 修司, 川島 邦裕
Organizer
第41回日本認知症学会学術集会/第37回日本老年精神医学会[合同開催]
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