2023 Fiscal Year Research-status Report
オミックスと長期評価による適切なゴールを目指す気分障害の革新的治療の基盤構築
Project/Area Number |
22K07607
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
加藤 正樹 関西医科大学, 医学部, 准教授 (00351510)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 元 順天堂大学, 医学部, 教授 (10311979)
日笠 幸一郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (10419583)
緒方 治彦 関西医科大学, 医学部, 助教 (30861942)
南畝 晋平 兵庫医科大学, 薬学部, 准教授 (40467527)
堀 輝 福岡大学, 医学部, 准教授 (50421334)
越川 陽介 関西医科大学, 医学部, 研究員 (70807156)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | うつ病 / Pharmacogenomics / プレシジョンメディスン / ゲノム / miRNA / mtDNA |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度にうつ病の治療反応やうつ病に関するパスウェイと相関を見出し、論文化したmiRNAに焦点をあてた研究を継続している。今年度は、ミトコンドリア内のmiRNAは、ストレスに応答してミトコンドリアDNA(mtDNA)とともに細胞質外に拡散する機序がうつ病下のストレスでも生じているという仮説のもと、未治療うつ病患者を対象に網羅的なmiRNAとmtDNAの関連を解析した。その結果、治療前の5つのmiRNA発現量がmtDNAと多重検定の補正後でも有意な相関を示した。これら5つは、うつ病やミトコンドリアに関連するパスウェイ上の遺伝子を制御するmiRNAであった。また、これらのうちmiR-6068とmiR-4708-3pは、それぞれSSRIとmirtazapine治療反応と有意に関連し、反応予測因子としての可能性が示唆された。この研究はJournal of Affective Disorder(IF=6.6)よりpublishされている(J.Affective Dis Volume 339, 15 Oct 2023, Pages 538-546)。うつ病におけるmiRNAとmtDNAを網羅的に解析しその関連を示した報告は他になく、新たな病態メカニズムの解明と治療最適化に貢献する世界初の報告となった。他にも、抗うつ薬治療前後のmiRNAの変化と治療反応の相関を検討し、ミルタザピンの治療効果と、141のmiRNAの治療前後変化量が関連し、それらmiRNAはTGF-betaやMAPKなど、これまでもうつ病との関連が示されたパスウェイ上のmiRNAであった。この研究もすでに論文化し、International Journal of Molecular Science(IF=5.6)からpublishされている(Int J Mol Sci. 2023 Aug; 24(15): 12199)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析を順調に進行し、論文投稿、受理まで進んだ研究が複数でてきている。 新たな症例サンプリングに関しても順調に進み、GWASを行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度もうつ病患者症例のサンプリングと長期間フォローを継続し、一定数サンプルが集積した時点でGWASをはじめプレシジョンメディスンを目指したバイオマーカー解析を行う予定である。今年度はグルタミン酸関連のアミノ酸の解析も進める予定である。
|
Causes of Carryover |
サンプリングは順調に進んでいるが、GWASやアミノ酸などの解析費用を抑えるためには、一定のサンプル数が集積されてから行うほうがよいため、今年度は解析を行わず、症例数が集積される次年度以降に行うことが理由です。
|
Research Products
(14 results)