2023 Fiscal Year Research-status Report
児童思春期の自殺企図リスクとテロメア長を関連付ける分子メカニズムの解明
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22K07619
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
須田 顕 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 講師 (60644656)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自殺 / 児童 / 遺伝子 / 遺伝子多型 / テロメア / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究グループでは、子供の抑うつ状態には精神病体験が併存することがあり、これが自殺のリスクとも関連することを報告した。本研究では若年(13~30歳)症例の患者を対象に、精神病体験の多様性に関する遺伝的子多型とストレス応答などの生物学的背景の関係を明らかにすることで、自殺リスクの高い患者の生物学的指標を明らかにすることを目的としている。 対象者は当大学がかかわる児童精神科の医療連携のネットワークを活用し、協力機関で協力者の募集を行っている。具体的には、横浜市立大学附属病院児童精神科・精神科・救命救急科・横浜市立大学附属市民総合医療センター児童精神科・救命救急センター、その他関連病院を受診した若年者(13~30歳)で、抑うつ症状のスクリーニングツールPHQ-9で中等度以上(評価点14点以上)のうつ状態に該当し、自殺念慮をもつ、あるいは自殺未遂歴のある者をを対象とし、そのなかで研究同意を得られた者から、末梢血を採取し末梢白血球由来DNAを収集している。併せて個人情報保護に細心の注意を払いつつ、カルテからその他の精神症状、身体的既往、薬物療法歴などの臨床情報を収集した。 2024年3月末時点でエントリーした症例数は295人(平均年齢14.72歳、最小10歳、最大18歳、男子68名、女子227名)であった。 目標症例数は先行研究を参照し500例とし、引き続きサンプルの収集を継続し、一定数の集積が得られたら外部機関に委託し遺伝子解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度に収集されたサンプルは47例にとどまり、連携施設のスタッフの異動などの要因により協力が得られにくくなった施設もあり、開始当初に比べてサンプルの収集速度は落ちている。今年度中に500例の収集完了を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中に目標症例数500の収集を完了し、外部機関への解析委託する。具体的にはリアルタイムPCR法によりテロメア長を測定、ゲノムワイドメチル化解析を行う。すでに我々が保有する年齢をマッチさせた健常群のメチル化データを用いて関連解析(MWAS)を行う。 メチル化プロファイルを解析し、自殺と関連する特定のメチル化パターンや領域を特定しし、自殺と関連する可能性のあるメチル化パターンの発見を試みる。 また、得られた全ゲノムメチル化データからテロメア長に関連するCpGサイトでクラスターを形成している遺伝子プロモーター領域を同定する。 さらに可能であれば、その同定された複数の遺伝子が何らかのパスウェイに偏位しているかを明らかにするためKEGGパスウェイ解析を行い、テロメア短縮の生物学的機序をゲノムレベルから明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
外部委託によりDNA解析を行うため、サンプルを収集し一定以上の数が集まってから委託することで経費を節約することができることから、昨年度、今年度と対象患者さんのリクルートに注力した。そのためほぼサンプル保管用の設備以外に支出がなく、残額が出ている。残額はサンプル解析のために使用する予定である。
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