2022 Fiscal Year Research-status Report
SCN2A遺伝子変異による社会性行動障害に関わる神経回路の解明
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22K07620
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
鈴木 俊光 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20373318)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | SCN2A / Nav1.2 / 神経発達症 / 社会性行動障害 / 神経回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
電位依存性ナトリウムチャネルα2サブユニット(Nav1.2)をコードするSCN2A遺伝子の変異は、自閉スペクトラム症、知的障害、てんかん、統合失調症など広範囲な神経疾患から同定されている。また 現在までに、申請者の所属する研究室では、SCN2A疾患変異やScn2a欠損モデルマウスの行動異常などについて多くの論文を発表している。本研究では、SCN2A遺伝子変異によるNav1.2の機能喪失が社会性行動障害にどのように寄与しているのかを詳細に解析することで、SCN2A変異を有する神経発達症患者の社会性行動障害発症に関与する神経回路・発症メカニズムの解明を目的としている。本年度は、Scn2aホモfloxedマウスの腹側被蓋野にアデノ随伴ウイルス(AAV)を注入することでCre組換え酵素を同領域の神経細胞で発現させて得た、脳部位特異的にScn2aがホモで欠損しているマウスを用いて統合失調症のエンドフェノタイプとして用いられる聴覚性驚愕反応のプレパルス抑制(PPI; 患者およびモデル動物の両方で低下が見られる)を含む行動試験を実施した。その結果、本マウスが社会性行動異常を示すことを示唆するデータを得つつある。動物数が少ないため、引き続き動物数を増やして検討する必要がある。また、社会性行動異常への皮質-線条体投射神経細胞の関与、線条体中型有棘神経細胞の関与についても、引き続き検討する。さらに、上記の検討で候補となる神経回路が見出せたら、脳領域・神経細胞特異的にCre組換え酵素が発現するトランスジェニックマウス、AAV-Cre、神経細胞特異的逆行性遺伝子導入(NeuRet)、DREEADまたは光遺伝学的手法などを領域・細胞種に合わせ選択して用い、社会性行動異常に関わる神経回路の検証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は本研究で用いるScn2a-floxedマウスおよび脳領域特異的にCreリコンビナーゼを発現させるためのAAVをすでに保有しており、使用するマウスの繁殖・準備、実験の実施について計画通り実施されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画どおり、社会性行動異常への皮質-線条体投射神経細胞の関与を脳部位特異的にScn2aがホモで欠損しているScn2a-ホモcKOマウスを用いて、PPIや社会性行動試験を含む行動試験を実施する。また、社会性行動異常への線条体中型有棘神経細胞の関与についても、線条体中型有棘神経細胞で特異的にScn2aがホモで欠損しているScn2a-ホモcKOマウスを用いて検討する。
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