2023 Fiscal Year Research-status Report
インターフェロン誘発性遺伝子から探る恐怖消去の性差を担う分子機構
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22K07623
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
松田 真悟 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (80723246)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 恐怖記憶 / 恐怖消去 / 性差 / インターフェロン誘発遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究により、3つのインターフェロン誘発遺伝子のうちCCL5が恐怖消去の性差に関与する可能性を得ることができ、作業仮説として『雌では背側海馬内CCL5-CCR5活性が高いために恐怖消去抵抗性が生じる』を立てた。本年度は、この仮説をさらに追及することを目的に実施した。 雌マウスで恐怖消去促進効果があったCCR5拮抗薬マラビロク(1 μg/site)を、雄マウスに投与しても恐怖消去に影響を及ぼさないことがわかった。また、雄マウスの背側海馬へCCL5(20 ng/ site)を投与することで恐怖消去が阻害された。これらの結果は、我々の仮説を支持するものだった。一方、CCL5-CCR5を標的とした治療法の開発を目指し、マラビロク(20 mg/kg)を雌マウスの腹腔内へ投与したが、申請者らの予想に反して恐怖消去を阻害した。また、恐怖記憶を獲得する前や獲得した後では、背側海馬のCCL5やCCR5のmRNAおよび血中のCCL5濃度に性差はなく、加えて、脳内Ccl5 mRNAと血中CCL5に相関がないことも明らかにした。 一方、研究を行っている過程で、ホームケージの大きさや床敷きの種類が雌雄の恐怖記憶に影響を与えることが分かり、これを国際誌へ報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初注目していたCCL5だけでなく、その受容体であるCCR5も恐怖消去の性差に関与することを明らかにすることが出来た。さらに、CCL5-CCR5経路に着目し、恐怖記憶の獲得前後でのそれぞれの背側海馬内mRNA発現量に性差がないことも明らかにできた。また、恐怖消去の性差について末梢のCCR5の関与は否定することが出来た。つまり、二年目の研究によって、恐怖消去時の背側海馬内CCL5-CCR5活性が恐怖消去の性差に重要なことが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
標的分子をCCL5-CCR5に絞り込み、CCR5の下流分子の中から恐怖消去の性差を担う分子を明らかにする。また、引き続き、in vivo siRNA法の導入に取り組み、雌マウスの背側海馬内のCcl5 mRNAをノックダウンした際に恐怖消去を促進することが出来るかを調べる。
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Causes of Carryover |
今年度の残金が購入希望試薬の金額に足りなかったので、無理に使用するのではなく、次年度使用額として、来年度に繰り越すことで、目的の試薬を購入できるようにするため。
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