2022 Fiscal Year Research-status Report
腸内細菌叢への介入による神経発達症関連行動の治療効果
Project/Area Number |
22K07624
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
三上 克央 東海大学, 医学部, 准教授 (90548504)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 信行 九州大学, 医学研究院, 教授 (60304812)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 無菌マウス / 腸内細菌叢-腸管-脳軸 / 行動解析 / 神経発達症 / ビフィズス菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、近年関心の高い脳腸相関を、腸内細菌叢と腸管、脳機能との相互関係と捉え、腸内細菌叢が、宿主の精神活動や行動にも影響を及ぼすと考えた。そしてその検証のため、祖先を同じくする無菌Balb/cマウス(以下、無菌マウス)を使用した行動解析を行い、無菌マウスは、通常菌叢マウスと比較すると、活動性や不安症状、攻撃性が高いことを解明した。本研究は、これらの成果のなかで、特に攻撃性に焦点を当て検討する。申請者らは、自験例から、発達早期の腸内細菌叢への介入が宿所の攻撃性の減弱に資するという仮説を立てた。乳児の腸内細菌叢において主要な菌はビフィズス菌である。本研究は、このビフィズス菌の1つの種を無菌マウスに感染させた単一菌叢マウスを作製し、ビフィズス菌による宿主の攻撃性への介入効果を検証する。 具体的には、乳幼児の腸内ビフィズス菌叢のなかで主要な菌種であるBifidobacterium Infantisを使用する。当該年度は、まずはBifidobacterium Infantisの単一菌叢マウスの作製を試みた。出生後早期にヒト腸内細菌叢の中心となる腸内常在細菌の1つであるビフィズス菌は、偏性嫌気性菌であり、培養自体に相当の技術を要する。さらに、単一菌叢マウスを作製するためには、そのビフィズス菌を無菌環境下のアイソレーター内で無菌マウスに感染させなければならない。以上につき工夫を重ね、当該年度は、このBifidobacterium Infantisの単一菌叢マウスの作製に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宿主の攻撃性に焦点を当ててビフィズス菌の効果を検証するためには、偏性嫌気性菌であるビフィズス菌をアイソレーター内で無菌Balb/cマウスに感染させる単一菌叢マウスを作製しなければならない。この単一菌叢マウスを作製できるか否かが、本研究の今後の方向性に大きな影響を及ぼす。その作製の成功したことから、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
アイソレーター内で無菌Balb/cマウス (以下無菌マウス) を繁殖し、親を同じくする雄マウスを、無菌マウス群と、無菌マウスに単一のビフィズス菌を定着させた群の2群に分類する。そして、両群の攻撃性を比較して、単一菌叢マウスの攻撃性の軽減効果を検証する。攻撃行動は、各群同週齢の同群のマウスを対戦相手とし、1対1での対戦状況を観察する。攻撃性は、ソーシャルインタラクション (正方形の箱の中にマウスを対角に置き対峙させる) を使用し、ビデオ観察し解析装置と目視で評価する。攻撃性は、Schneiderによる攻撃性判定基準に基づいて、尾での威嚇や噛みつき、攻撃的な毛繕い、執拗な追いかけなどを観察する。 さらに、同時に進めてきた、無菌マウスを使用した腸内細菌叢の社会性への影響を、明らかにしたい。
|
Causes of Carryover |
物品費用が、当初の見積もりよりも低くなったため、繰越金が発生した。次年度助成金は、無菌マウスの飼育と繁殖に必要な経費に使用することを計画している。
|
Research Products
(3 results)