2022 Fiscal Year Research-status Report
高リスク神経芽腫に対する超効果的・効率的核医学治療法の開発
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22K07634
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
萱野 大樹 金沢大学, 医学系, 准教授 (10547152)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 核医学治療 / I-131 MIBG / Lu-177 DOTATATE |
Outline of Annual Research Achievements |
I-131 MIBG治療の代表的な治療対象疾患である遠隔転移や切除不能病変を有する褐色細胞腫・傍神経節腫を対象に、I-131 MIBG治療とLu-177 DOTATATE治療を併用した核医学治療の可能性について、それぞれのコンパニオン診断薬であるI-123 MIBGとIn-111 Pentetreotideを用いたシンチグラフィを同一患者に施行することで臨床的に評価した。 対象症例7例(平均年齢:59.7歳、男性/女性:5例/2例、褐色細胞腫/傍神経節腫:5例/2例)において、I-123 MIBGシンチグラフィとIn-111 Pentetreotideシンチグラフィを施行し、各診断用薬剤の病変集積の有無およびいずれの薬剤が優位の集積かについて調べた。両シンチグラフィ施行時点で、7例中2例は核医学治療歴なしであった。残りの5例はいずれもI-131 MIBG治療歴を有しており、I-131 MIBG治療で十分な効果が得られないまたは一時的に効果が得られたもののその後増悪したために、Lu-177 DOTATATE治療の適用の有無を評価する目的でIn-111 Pentetreotideシンチグラフィが施行された。シンチグラフィの結果は、7例全て、I-123 MIBGとIn-111 Pentetreotideの両薬剤の集積を少なくとも1か所以上の病変に認めた。7例中2例はI-123 MIBGが優勢の集積、4例はIn-111 Pentetreotideが優勢の集積であり、残り1例は両薬剤ほぼ同程度の集積であった。 今回の結果からは、褐色細胞腫・傍神経節腫において、I-131 MIBGだけでなくLu-177 DOTATATEも核医学治療として十分に治療効果が期待できる可能性のあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、基礎的検討を計画していたが、昨今の国際情勢等の理由から実験用のLu-177 DOTATATEの安定的な輸入が困難であると想定されたため、神経芽腫と同様の神経堤由来腫瘍である褐色細胞腫・傍神経節腫の患者を対象として、臨床的な検討を行った。 臨床的検討となったものの、集積機序の異なる2種類の放射性薬剤による併用核医学治療の可能性について評価するという主目的は変わらず、むしろ、より実臨床に近いレベルでの検討を行うことが可能となっている。令和4年度の研究結果からは、2種類の放射性薬剤による併用治療の可能性が示され、研究は順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度の研究では、褐色細胞腫・傍神経節腫において、I-123 MIBGとIn-111 Pentetreotideの両放射性薬剤が集積することが確認され、それぞれの放射性薬剤に対する治療薬であるI-131 MIBGとLu-177 DOTATATEによる核医学治療で効果発現が期待できることが示された。 令和5年度以降の研究では、I-123 MIBGとIn-111 Pentetreotideの両シンチグラフィが施行された症例を蓄積しつつ、かつ、それぞれのシンチグラフィの結果に応じたI-131 MIBG治療またはLu-177 DOTATATE治療を施行し、その効果発現の有無およびI-131 MIBGとLu-177 DOTATATEを併用した核医学治療の可能性についての検討を行う。
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Research Products
(8 results)